2012 Fiscal Year Research-status Report
水の過冷却液体状態での挙動の大規模計算機実験による解明
Project/Area Number |
23540434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 弥生 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20301814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 道夫 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (40175477)
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Keywords | 国際情報交換 / ボストン大学 |
Research Abstract |
一般化されたレプリカ交換法を、粒子サイズが異なる多分散レナードジョーンズモデルへ適用することによって、相転移現象に対するレプリカ交換法を用いて得られる物理量がどのような挙動を示すかについては研究が大きく進んだ。現時点では、定圧で、温度を変化させることによって、気体-液体-結晶、もしくはアモルファスになる領域についての研究を主に進めており、今年度、研究を進めていた範囲内では、エンタルピー、体積、内部エネルギーについて、それぞれ、内部エネルギーとエンタルピーが温度に対して非常に近い振る舞いを示すことを明らかにする一方で、体積はそれら二つとは異なる温度変化を示すことを明らかにした。さらに、過冷却液体状態のみならず、気体-液体相転移での多分散性の効果についても、研究会や国際会議などで興味を持たれ、多分散性の効果と相転移という面でも成果を挙げつつあり、かつ、一般化されたレプリカ交換法が、一般的な相転移現象を記述するのに有効であることが示されつつある。しかし、その一方で、有限系でのサイズ依存性について、考慮すべき問題点が存在する点を国際会議での議論で指摘されたため、今後、有限サイズ系におけるサイズ効果を明らかにした後、水系にその成果を生かし、発展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般化されたレプリカ交換法の多分散レナードジョーンズモデルへの適用については研究が大きく進み、気体-液体-結晶、もしくはアモルファスになる系についての成果について、興味深い結果を得ている。さらに、多分散性をもつ系の気体-液体相転移という観点からもコロイド系などソフトマター関係の研究者からも興味を持たれる結果を得ている。しかし、これらについては予想していなかった結果であり、その解析に時間がかかっている。さらに、有限系におけるサイズ効果についての問題点に対して、その点を明らかにするべく、現在研究を進めており、レプリカ交換法の一般的な相転移への適用への研究は大きく進んでいるが、水に特化した適用が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
圧力一定の系におけるレプリカ交換法の多分散レナードジョーンズモデルへの適用については研究が大きく進み、気体-液体-結晶、アモルファス相への相転移について研究が大きく進んだが、さらに、圧力を大きくすることによって、気体-液体相転移がなくなる高圧に圧力を設定することによって、同じモデルポテンシャルで引力系と斥力系の違いを比べる。さらに、有限サイズ効果についてもシステムサイズを大きく変化させて、違いを明らかにし、これらの点を明らかにした後、大規模な水系の過冷却液体状態への研究へと進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多分散レナードジョーンズモデルの研究を進めつつ、 レプリカ交換法の開発チームのリーダーであるボストン大学のT. Keyes教授を訪問し、これまでに明らかになった諸問題を議論し、さらに、レプリカ交換法の水への適用についてより具体化し成果を示す。また、そのためにデータ解析用のサーバーやアプリケーションなどを購入する。 また、成果について、論文や国際会議などでの発表を行うために経費を利用する。
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