2013 Fiscal Year Annual Research Report
水の過冷却液体状態での挙動の大規模計算機実験による解明
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23540434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 弥生 東北大学, 金属材料研究所, 特任准教授 (20301814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 道夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 研究支援者 (40175477)
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Keywords | ガラス相転移 / 結晶相転移 / レプリカ交換法 |
Research Abstract |
計算機実験により水の過冷却液体状態の様子を探るためには、複雑な系において不安定な過冷却液体状態を実現できる計算手法が重要となる。そこで、一次相転移近傍の不安定な領域にアクセス可能な一般化されたレプリカ交換法のガラス相転移への適応可能性を探るために、これまで単分散レナードジョーンズ系の気体-液体相転移やIsingモデルなどのみに適応されてきた一般化されたレプリカ交換法を圧力一定の多分散レナードジョーンズ系に適応し、気体、液体のみならず固体も含む広範囲な温度領域に対する計算機実験を行った。 系のエンタルピー、内部エネルギー、体積、動径分布関数などの温度依存性を計算することにより、温度-多分散度に対する相図を詳しく調べた。圧力を変化させて、引力が重要となる気体-液体-固体相が生じる臨界点と三重点の間と斥力が系を支配する液体-固体相のみの臨界点以上の相図を比較した。その結果、臨界点以下では、多分散度の違いは、気体-液体相転移温度に強く影響を与えるが、液体-固体相転移温度については影響が小さく、圧力変化に対しても液体-固体相転移温度はほとんど変化しない。その一方、臨界点以上では、液体-固体相転移温度が圧力に強く依存することが分かった。しかし、液体-結晶相転移が消失する多分散度が圧力によらず一定でありs=0.15-0.20であり、それ以上の分散度では液体からガラス相へ遷移することを明らかにした。 多分散度を大きく変化させたり、圧力を変化させるなど系を様々に変化させて計算を行った結果、本研究により水などの複雑な系にも一般化されたレプリカ交換法が広範囲な温度領域に対して適応可能であることが示唆された。
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[Presentation] 多分散粒子系における相図2014
Author(s)
寺田 弥生,T. Keyes,J. Kim
Organizer
日本物理学会 第69回年次大会
Place of Presentation
東海大学 湘南キャンパス, 平塚
Year and Date
20140327-20140327
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