2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540444
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60261509)
鈴木 良尚 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (60325248)
勝野 弘康 学習院大学, 計算機センター, 助教 (70377927)
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Keywords | 結晶成長 / 臨界核サイズ / ステップ / 不純物 / バンチング / 蛇行 |
Research Abstract |
本研究課題は,理論のサブグループと実験のサブグループから構成されている。 理論サブグループでは,結晶内部に取り込まれた不純物が,弾性的な効果により表面での核生成に及ぼす効果を調べた。吸着子が有限の間隔で周期的に取り込まれた不純物によって原子レベルの大きさの吸着子が吸着する最安定な位置が決まる。しかし,結晶表面上にできる核の大きさが有限であることを考慮すると,この最安定な位置から外れたところで2次元の島状の結晶核が生成されることが分かった。この結果については,2012年度日本物理学会秋季大会(横浜国立大学)および結晶成長学会(九州大学)で発表した。また,結晶表面上に周期的に付着した不純物による2次元結晶核の挙動については,昨年度の臨界核サイズの変化に関する研究を発展させて,動的挙動について調べることとした。 実験サブグループでは,昨年度に引き続き,ある種のタンパク質に異種のたんぱく質を混合した場合の成長速度と形態の変化について調べた。異種タンパク質が不純物として働き,成長速度を大きく変化させることや結晶の成長形態を変化させることが分かった。定量的な評価については次年度行うこととした。今年度得られた結果については,結晶成長学会および北海道大学低温科学研究所の研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の項目で書いたように,理論サブグループおよび実験サブグループともに十分な結果が着実に得られており,概ね順調に進展している。特に今年度は結果の多くを様々な学会で口頭発表することができた。次年度はこれらの結果を論文化し出版することが目標となる。本年度は理論サブグループおよび実験サブグループで得られた結果について共有し,協働して研究を進めるために研究会を開催した。この研究会では外部の評価者(小松啓東北大学名誉教授)も招聘して,今後の研究の方針の確認を行った。次年度も最終年度として同様の研究会を行うとともに,結晶成長国際会議(ポーランド)に参加して成果発表をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論サブグループについては,現在着手し始めた不純物が結晶成長の動的過程に及ぼす効果を調べることが主となる。これまでの研究により従来予想していたよりも計算規模が大きくなることが分かり,シミュレーションとしては,これまでに準備した設備では少し難しいことも予想されるが,シミュレーションを小さな系で行うなどして対応する予定である。また実験サブグループとしては,異種タンパク質の不純物としての働きを定量的に評価するとともに,タンパク質合金の精製へ向けたロードマップを明確にして今後のさらなる展開の基礎を確立することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本研究課題の最終年度である。そのため設備投資については最少限度にとどめて,主に成果発表のための旅費などに予算を使用する。計画している学会としては,8月に開催予定の結晶成長国際会議(ポーランド,ワルシャワ),9月開催予定の日本物理学会(徳島大学), 11月開催予定の日本結晶成長国内会議(信州大学)などを考えている。これに加えて最終年度としての総括の研究会を開催する予定である。
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Research Products
(12 results)