2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子・分子衝突における共鳴性電子付着-温度可制御性の探索とその応用
Project/Area Number |
23540468
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 大 上智大学, 理工学部, 教授 (20119134)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 加熱分子 / 電子分光 / 光電子分光 |
Research Abstract |
低エネルギー電子衝撃と放射光照射を相補的に使い、500-1500K領域にボルツマン分布したホット(熱励起)分子内の価電子と内殻電子への温度効果を精密測定することで、ホット分子の励起ダイナミックスの詳細を解明することを研究目的とした。 申請書に記した平成23年度の研究計画[上智大学]:1)抵抗加熱のホット分子生成装置の改良・設置に成功し、2)電子分光実験(N_2O,CO_2)を行い、典型的な直線3原子分子において加熱による分子の分離した変角振動(010、020、030)モードの効果が形状共鳴状態に極めて系統的に発現することが観測できた。これらの結果に基づき、研究計画をさらに発展させ、軟X線エネルギー領域の放射光[Spring-8]を使ったホット分子の内殻光電子分光実験を遂行した。3)SPring-8への課題申請(加熱により変角振動励起制御された直線三原子分子の軟X線内殻光電子分光実験:課題番号2100B1576)が採択されN_2Oの内殻光電子分光にも成功した。解析の結果、センター(N_C)およびターミナル(N_T)のN原子の内殻状態に特異な温度効果よる断面積の強調が観測された。現在その理論的裏づけを検討しており、投稿論文として準備中である。4)CH_4,SiH_4,GeH_4、F_2COにおける同位体効果を分離した共鳴性電子付着過程の測定にも成功した[上智大学]。さらに新たに、5)タングステンおよびベリリウムの加熱表面でのホットH_2分子生成セルの設計・製作を行い装置の開発[上智大学]を終えることができた。このことで、申請課題の応用分野への貢献、即ち核融合炉ダイバータ近傍の熱励起分子と低エネルギー電子衝突ダイナミックスにおける未解決問題の実験的解明が期待できる。 以上、平成23年度で予定した申請課題をほぼすべて実施することが出来た。また、本研究によりホット分子における励起ダイナミックスの電子・光子による探索の重要性と将来性の地歩を築くことができた。結果は、申請課題年度に発表した研究業績に中に研究成果として示されている。
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Research Products
(32 results)