2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540477
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 明彦 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60252342)
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Keywords | 二軸ネマチック相 / 二軸性液晶相 / 液晶 / ナノチューブ / 液晶ゲル / 体積相転移 / 二軸スメクチック相 |
Research Abstract |
本研究は,ナノチューブなど長い棒状分子と低分子液晶分子の混合系や、液晶ゲルで起こる、2 軸ネマチック相や2 軸スメクチック相などの新規な液晶構造と相分離について、統計力学的理論を構築し解明することが目的である。これまで、バナナ型や板状型のサーモトロッピック液晶系で2軸ネマチック相などは議論されているが,棒状分子と液晶分子の混合系でにおける2軸ネマチック相は未だ議論されていない。本研究は,軸対称性しか持たない2つの長さの異なる棒状分子の混合系における,新しい2軸液晶相の可能性を初めて示すものであり,得られた結果は,今後の新しい2軸性液晶の開発の基礎となる。3年間では計画通り次の3つの大きなテーマについて研究を行った。(1)棒状分子と液晶分子の混合系における2軸ネマチック相:ここでは、新規な2軸ネマチック相が温度や濃度、さらには、棒状分子の長さなどの物質パラメーターによって安定に出現できることを理論的に示すことができた。さらに様々な相分離現象が存在することを予測した。(2) 液晶ゲルにおける2軸液晶相と体積相転移:側鎖と主査に棒状分子をもつ側鎖型液晶高分子において、温度変化に伴い新規な2軸性ネマチック相が現れることを理論的に予測した。等方相から2軸ネマチック相への1次相転移に伴い、ゲルの体積が不連続に変化することを示した。さらに、最終年度には(3)棒状分子と液晶分子の混合系における2軸スメクチック相について理論的に研究した。液晶分子が作るスメクチック相の層間に棒状分子が垂直に配向することで、新規な2軸スメクチック相が出現する可能性を示した。以上の結果は、3年間で10本の原著論文として科学雑誌に発表済みである。さらに、最終年度には、コレステリック相が局所的には2軸性を持つことに注目して、コレステリック相の研究にも着手した。この研究は、来年度以降に続く計画である。
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