2011 Fiscal Year Research-status Report
本震直後の余震活動の解明:地震波振幅を用いた震源とメカニズム解の同時推定
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23540487
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90142835)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 余震 / 震源 / メカニズム解 / 時間変化 |
Research Abstract |
余震は本震の断層の大きさや運動のしかた等の重要な情報を含んでいる.余震数は本震からの経過時間とともに急激に減少するので,本震直後の地震活動を把握することが特に必要であるが,その時間帯は余震が頻発するために,通常の方法では震源決定が困難である.そこで本研究では,地震波の振幅を用いて震源位置と震源メカニズム解を同時決定する方法を開発し,それらの空間的及び時間的変化を明らかにすることを目的としている.本研究において23年度に実施した内容とその成果は以下の通りである.1.2004年中越地震の震源域北部で発生した大規模余震と2011年東北地方太平洋沖地震について,通常の手法で震源決定を行い,震源位置は時間の対数に比例して拡大することが判明した.2.東北地方太平洋沖地震の誘発地震の中で,秋田県北部において震源の移動が見られる例を見いだした.また,東北地方北部で発生した誘発地震の中の約120個について,震源メカニズム解を通常の方法で決定した.3.バンドパスフィルターを通した地震波形の最大振幅とその出現時刻を計測することと,波の振動様式の時系列データを得る手法を完成させた. 本研究で開発する手法の妥当性の検証は,通常の手法で決定した震源及びメカニズム解との比較を通して行われる.そのため,上記1と2は,比較のためのデータを得たことが成果と言える.1によって,震源位置が本震からの経過時間の対数に比例して拡大することがわかったが,その速度を正確に見積るには本震直後のデータが極めて重要であり,本研究による手法の開発が必要であることが改めて確認された.上記3については,手法開発の基礎的なツールが用意できたと位置づけられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,手法開発,実際のデータへの適用,手法の改善,余震分布の特徴把握と時間変化の要因の究明,の順番で行うこととしていた.しかし,23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震への対応を行う必要があったために,結果を比較するためのデータ取得を先に行った.そのため,手法開発の面では遅れが出ているが,実施順序を入れ替えたと見なすことができ,最終目標に向かってはおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度には手法開発を最優先に研究を実施する.具体的には,最大振幅をもたらした波の種類を振動様式から判別し,最大振幅の出現時刻を初動時刻と見なして地震発生時刻,震源位置,マグニチュードの初期値を推定する.次いで,それらの推定値を少しずつ変えながら理論振幅を計算し,観測最大振幅を最も良く説明するものを選び出す.その際,震源メカニズム解も同時に推定する.こうして決められた震源と震源メカニズム解を既知の震源及び解と比較し,手法の妥当性を評価し,改善点を見いだす. データ処理に関しては,23年度に処理したデータの中で時間的に欠落がある部分を補うとともに,2004年中越地震本震直後の震源分布を通常の方法で求める.これにより,23年度に求めた2つの地震を加え,3種類のデータセットを完成させ,本研究で開発する手法で得られる結果との比較に使用する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理論振幅の比較計算に必要な理論波形やデータを保存するためのメディアや研究を進める上で必要な消耗品費,作業補助者への謝金,成果発表のための旅費として使用する.
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Research Products
(2 results)