2012 Fiscal Year Research-status Report
大気大循環モデルと超多点磁場観測データによる大気圏電離圏協調現象の解明
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23540513
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮原 三郎 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (70037282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯元 清文 九州大学, 学内共同利用施設等, その他 (20125686)
廣岡 俊彦 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90253393)
河野 英昭 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60304721)
吉川 顕正 九州大学, 学内共同利用施設等, 講師 (70284479)
渡辺 正和 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70446607)
フイシン リュウ 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70589639)
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Keywords | Sq電流 / 赤道エレクトロジェット / 成層圏突然昇温 / 赤道ケルビン波 |
Research Abstract |
2009年の成層圏突然昇温に伴う熱圏の応答についてGAIAモデルによるシミュレーションの解析を実行し、熱圏赤道域の温度と中性大気密度が突然昇温に伴って大きく変動することを見いだした。これは主に半日潮汐振動が変動することに起因していることを明らかにした。また、北極域では下部熱圏で昇温が起こるが、南極域では降温が100km-400kmの高度にわたって起こることが明らかとなった。この結果を国際誌に掲載した。 成層圏突然昇温時の成層圏と熱圏の変動を結びつける過程を明らかにするために、両者の中間に存在する中間圏の変動を、2009年の突然昇温についてAura EOS/MLSデータの解析を実行した。この年の事例では成層圏での突然昇温は波数2のプラネタリー波で起こっていることが示された。しかしこの突然昇温に伴う成層圏帯状平均風の東風への変化に先立って、中間圏で平均帯状風の東風への変化が起こっていることが明らかになり、中間圏でも東西波数2の波が卓越していることを明らかにした。さらにこの波が成層圏のプラネタリー波とは独立に、中間圏極域の帯状平均流の不安定によって励起されている可能性を発見した。これらの結果を国際学会で報告した。 5年間にわたるKyushu-GCMによるシミュレーションで得られた中性風を使用して、Sqおよび赤道ジェット電流のシミュレーションを実行し、これらの電流が中性大気風の変動により大きく変動することを見いだした。変動の周期は10日程度の付近にピークを持つことが解った。前年度までの研究で、下部熱圏中性風変動には赤道ケルビン波が含まれていることが明らかになっており、この波動の振幅変動が同様の周期帯をもつことが明らかとなっている。これまでの観測からも示唆されている赤道ケルビン波変動とこれらの電流の変動の関係についての解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成層圏突然昇温時の熱圏および中間圏の変動については、GAIAモデルやAura EOS/MLSデータの解析によりある程度,解明することができた。これらの中性大気変動と前年度に明らかとなった赤道エレクトロジェットの変動との因果関係については、その解明には至っていない。しかし、数値モデルによる因果関係究明のためのシミュレーションデータを今年度に整えることができ、来年度の解析が可能となった。 具体的には、Kyushu-GCMの5年間の中性風を用いた電離圏Sq電流および赤道エレクトロジェットのシミュレーションを赤道反対称成分まで含めて実行し、今後の中性大気変動と電流変動の因果関係の解析に資するデーターセットの作成を終えることができ。このデータセットを使用して赤道ケルビン波変動と電流変動の因果関係の解明に着手した。このデータによる成層圏突然昇温時の解析も来年度には可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
成層圏突然昇温時の中性大気変動を他の事例についても解析するとともに、観測で明らかになっている赤道エレクトロジェットの変動との因果関係を解明する。 Kyushu-GCMデータと電離圏Sq電流および赤道エレクトロジェットのシミュレーションデータを使用して、中性大気変動と電流変動の因果関係を、モデルデータの解析により明らかにする。 具体的には以下の解析を行う。 (1)赤道ケルビン波変動との関係を解明 (2)大気潮汐波動の変動との関係の解明 (3)Kyushu-GCMでの突然昇温時の中性大気変動と電流変動の因果関係を解析する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度のシミュレーションで得られた大量なデータ及び次年度に行う解析結果の保存のために大容量のRAIDハードディスクを購入する。 今年度の研究で得られた研究成果を国内外に公表するための旅費や投稿料に使用する。
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Research Products
(14 results)