2013 Fiscal Year Annual Research Report
金星大気大循環モデルの高度化に向けた微細擾乱の数値実験
Project/Area Number |
23540514
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 勝 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
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Keywords | 金星大気 / 対流 / 波動 / 大気大循環 / 地球流体力学 |
Research Abstract |
Weather Research and Forecasting modelを用いて,金星GCMの高度化に向けた3次元マイクロスケール数値実験を行った.これまでメソスケール対流の重要性のみ議論されてきたが,「雲層下部での対流調節」や「雲底での赤外放射フラックスのギャップに伴う熱フラックス」が1km程度の擾乱を生み出しうることを数値実験で例証した.掩蔽観測で見られる静的安定度の微細構造と重力波放出に関して,雲底での熱フラックス強度依存性や気温・風速の初期値依存性を調査し,その結果をまとめた(Yamamoto 2014, accepted by Earth Planet, and Space).対流層内のマイクロスケール渦が弱いと「鉛直波長が短い波型の安定度鉛直分布」が形成され,対流層の渦が強く活発だと,「局所的に増大する安定度鉛直分布」が形成される.どちらのタイプの安定度鉛直分布が出現するか否かは,対流層内の擾乱強度に大きく依存していると考えられる. また,マイクロスケール力学をパラメタライズしたルーチンを組み込むベースモデルである金星GCMの整備も行った.昨年度から引き続き,モデル整備の一環として,金星中層大気GCMで再現された超回転や極域渦の力学について調査した.今年度は雲底の極渦を詳しく調査した.雲頂と異なり,雲底では温度の帯状構造が卓越するので,温度コントラストが雲底の極域渦の濃淡を表わすことができない.温度ではなく,擾乱による水平収束や渦度のコントラストが極域の雲底で卓越する.このことから,雲底で観測される極域渦模様は,温度コントラストよりも,渦度や発散と関連した雲粒子や吸収物質の濃淡を反映している可能性が示唆される.
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Research Products
(3 results)