2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540523
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 雄一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40314025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 衛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20210560)
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Keywords | 電離圏 / 熱圏 / 国際研究者交流 / アメリカ / 春秋非対称 / MUレーダー / ファブリ・ペロー干渉計 / プラズマ・中性大気相互作用 |
Research Abstract |
1.MU レーダーによる電離圏標準観測として電子密度、電子・イオン温度、プラズマドリフト速度の観測が1986年から毎月3 日間(1996 年以降は、4 日連続観測を年間9 回)行われてきた。これらのデータを解析し、電子密度、電子・イオン温度、プラズマドリフト速度、及び子午面中性風のデータ・ベースを作成した。 2.インドネシア・コトタバンの赤道大気レーダー(EAR)サイトにおいて2003年から観測を行っているGPS受信機のデータを解析し、シンチレーション発生頻度の春・秋非対称性及びその太陽活動サイクルによる違いを調べた。2003-2004年の高太陽活動極大期では、シンチレーション発生頻度は9-10月よりも3-4月に高かったが、2011-2012年においてはその非対称は顕著ではなかった。また、2011-2012年は、2003-2004年とほぼ同程度の太陽活動度であるが、シンチレーションの発生頻度は高かった。これは、シンチレーションの原因であるプラズマバブルの発生には、日没時の東向き電場の大きさだけでなく、他の要因も寄与しているためと考えられる。 3.名古屋大学太陽地球環境研究所は、滋賀県信楽の京都大学MUレーダー・サイトにおいて1997年以降、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)による熱圏中性大気風速の連続観測を行っている。本研究では、掃天型の観測を行った2000年10月以降にFPIで得られた熱圏中性大気風速データを統計解析し、熱圏中性大気風速の日変化を明らかにするとともに、顕著な南北非対称性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、MUレーダーで観測された電離圏物理量を統計解析しているが、MUレーダーは、電離圏を観測するための非干渉散乱(Incoheren t Scatter; IS)レーダーとしては周波数が低いために受信電波の信号対雑音比(SN 比)が低く、外来雑音の影響を受けやすく、データを十分に吟味しながらデータ処理を行う必要がある。特に、2003年から2009年までの太陽活動極小期は、これまで以上に太陽活動度が静穏であったため、電離圏電子密度が低くデータのSN比が小さくなったため、レーダー内部の雑音の影響があるなど、データ解析に細心の注意を払う必要があり、時間を要した。また、中間圏観測データもSN比が小さいため、ノイズと信号との区別が難しく、解析手法に工夫が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. MU レーダー中間圏観測データの解析:1986 年より定常的にMUレーダーを用いて中間圏乱流の観測が行われてきた。乱流の強さはレーダー・エコーのスペクトル幅から求めることができるので、1986 年から今までに得られた中間圏観測データを解析し、乱流の強さを表す乱流拡散係数を求め、春・秋非対称性の有無を統計的に明らかにする。 2. 中性大気及び電離大気の春・秋非対称性の定量的理解: 信楽のファブリ・ペロー干渉計だけでなく、2010年から観測を開始したタイ・チェンマイ、インドネシア・コトタバン、及び2011年から観測を開始したオーストラリア・ダーウィンのファブリ・ペロー干渉計で得られた熱圏風速の解析を行う。また、人工衛星観測で得られた中性大気密度及び風速の統計解析データも活用する。これらのデータをシェフィールド大学プラズマ圏電離圏モデル(Sheffield University Plasmasphere and Ionosphere Model; SUPIM)に入力し、電離圏観測データを定量的に再現できるか確かめる。SUPIM は、複数の電離圏イオン及び電子の運動方程式、連続の式、エネルギー方程式などを磁力線に沿って解く数値モデルの一種で、シェフィールド大学のNanan Balan 博士を研究協力者として実施する。さらに、SUPIM に入力する中性大気密度や組成、風速を変えて計算を行い、中性大気のどのパラメーターが電離圏の春・秋非対称性の主原因であるかをつきとめる。 3. 中間圏乱流拡散係数の熱圏・電離圏への影響の調査: MU レーダー中間圏観測データを解析して得られた中間圏乱流拡散係数をTIE-GCM に入力し、中間圏乱流拡散係数の春・秋非対称性が熱圏・電離圏の春・秋非対称性にどの程度の影響を与えているかを定量的に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・米国大気研究センターのQian博士を招へいし、日本地球惑星科学連合 2013年度連合大会において電離圏・熱圏の年変化に関する研究成果の招待講演を行うとともに、電離圏・熱圏の春・秋非対称性に関する研究打合せをし、観測結果を数値シミュレーションと比較する。 ・英国シェフィールド大学のBalan 博士を招聘し、名古屋大学太陽地球環境研究所の客員研究員として3 ヶ月間共同研究を行う(謝金を使用)。雇用費は、名古屋大学の規定に従う。熱圏の中性大気観測データと電離圏観測データとを比較するためには、電離圏の数値モデルを用いた定量的な研究が必要不可欠であり、本研究では電離大気について自己無撞着に解くことのできるシェフィールド大学プラズマ圏電離圏モデル(SUPIM)を用いる。Balan 博士は、これまでにMU レーダーをはじめとする観測データとSUPIM による計算結果との比較を行い、多くの研究成果をあげており、本研究ではBalan 博士の研究協力が必要不可欠である。 ・MU レーダーは、京都大学生存圏研究所で運用されており、観測データも同研究所に蓄積されている。データ解析の手法、データの品質を議論するため、大塚(研究代表者)が生存圏研究所を訪問し、研究打合せを行う(国内旅費を使用)。 ・解析したデータを保存するため、大容量の記憶装置を使用する(消耗品費を使用)。 ・ 国内外の学会)や研究集会で、研究成果を発表するとともに研究遂行に必要な資料収集を行う(国内外旅費を使用)。
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[Presentation] 地磁気静穏日変化の長期変動について2013
Author(s)
新堀淳樹, 浜口良太, 小山幸伸, 能勢正仁, 谷田貝亜紀代, 堀智昭, 大塚雄一, 浅井歩, 上野悟, 磯部洋明, 横山正樹
Organizer
太陽研究シンポジウム「活動極大期の太陽研究、そして新たな太陽研究への布石」
Place of Presentation
立教大学
Year and Date
20130220-20130222
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[Presentation] 地磁気静穏日変化(Sq)の長期トレンドから推察される超高層大気変動について2012
Author(s)
新堀淳樹, 小山幸伸, 能勢正仁, 林寛生, 堀智昭, 大塚雄一, 浅井歩, 磯部洋明, 横山正樹, 上野悟, 塩田大幸, 羽田裕子, 北井礼三郎, 津田敏隆, IUGONET プロジェクトチーム
Organizer
日本地球惑星科学連合2012年大会
Place of Presentation
幕張メッセ、千葉
Year and Date
20120520-20120525
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