2013 Fiscal Year Research-status Report
衛星直接観測と地磁気逆計算法によるオーロラ電流系の解明
Project/Area Number |
23540524
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
家田 章正 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (70362209)
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Keywords | 国際情報交流(米国) |
Research Abstract |
地球の極域電離圏(高度100km)夜側では、数時間に一度、オーロラが爆発的に増光する。このオーロラ爆発は、より高々度の磁気圏尾部に蓄積された電流エネルギーが、電離圏にショートする現象であると考えられる。本研究計画では、このオーロラ爆発を、地磁気逆計算法により解明する。 本年度は、地磁気逆計算法に必要な、電離層電気伝導度の研究を行った。特に、地球の昼間電離圏における、高度積分した電気伝導度の、太陽天頂角(SZA)依存性を調べた。その結果、ペダーセン伝導度に対するホール伝導度の、比について近似式を理論的に得た。 電気伝導度は電子密度に依存している。昼間の電離圏電子は、太陽の極端紫外線による、中性大気の電離を生成源としている。このような電子の密度は、特にE層ではChapman理論により近似されることが多い。しかし、過去の研究においては、伝導度のSZA依存性が、Chapman理論による最大電子密度とコンシステントなモデルや、矛盾するモデルの両方が提唱されている。 本研究では、ペダーセン伝導度は、Chapman理論を修正すれば、観測とコンシステントであることを見出した。そのような修正は、E層の topsideでは垂直方向に電子密度が一様であると近似すること、また、中性大気温度が高高度ほど高くなる効果を取り入れることである。SZAが大きくなるほど、つまり夜に近づくほど、伝導度は小さくなるが、この変化は、ペダーセン伝導度よりも、ホール伝導度の方が大きかった。これは、SZAが大きいほど、ホール層が薄くなるからであると理解される。このために、SZAが大きいほど、ペダーセン伝導度に対するホール伝導度の比は小さくなる。この効果を、Chapman理論における最大電子生成高度により表現し、電気伝導度比の近似式を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ファスト衛星により直接観測された南北電流ペアが、経度方向に局在化しているか否かを、地磁気逆計算法による推定により調べた。地磁気逆計算法の結果の妥当性はファスト衛星の磁場・粒子・電場データを用いて検証した。 (2)地磁気逆計算法を用いて、オーロラ電流の成分を、電場に平行な成分(Pedersen)と、電場に垂直な成分(Hall)とに分解した。 (3)計算の高速化のために、最新の計算機を購入した。(納品は2014年4月9日)。無料のオペレーションシステムであるScientific Linuxを導入することにより、購入費を節約した。 (4)地磁気逆計算法に必要な、電離圏伝導度の太陽天頂角依存性について、地球電磁気・地球惑星圏学会に於いて成果発表を行った(2013年11月15日、高知)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、概ね当初予定通りに、研究を推進する。ただし、ファスト衛星の粒子・磁場データの供給システムがさらに変更されため、これに対応する。変更の結果、データの取得が容易になっていると予想される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機を発注したところ3月31日までの納品が間に合わなかったので、 次年度に繰り越した。 計算機を購入済み。(納品は2014年4月9日)。
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Research Products
(2 results)