2011 Fiscal Year Research-status Report
ロケット放出リチウムを用いた昼間熱圏における中性大気風速の精密計測
Project/Area Number |
23540525
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
山本 真行 高知工科大学, 工学部, 准教授 (30368857)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 観測ロケット / 熱圏大気 / 中性大気風 / リチウム放出 / 三次元計測 / 三角測量 / 昼間 / 日米共同ロケット実験 |
Research Abstract |
熱圏大気中性風の解明は重要だが、計測手法が限られ理解が十分でない。本課題の意義は、実質的に未踏の昼間熱圏大気風の計測手段確立にある。我々は2011年7月10日10:00LTに米国WallopsにてNASA観測ロケット2機を用い昼間熱圏(高度約90-120km)にてリチウム(Li)放出実験を行った。北海道大と高知工科大の6名が6/27-7/20に渡米しClemson大と共同で3地点から発光雲を観測した。ロケットは正常動作し地上機器も問題なかったが、発光雲を撮影できなかった。実験後の議論で日本での明け方実験結果を待ち比較用の2組目の実験を実施と決定し帰国した。全画像精査でも痕跡は確認されず、要因を定量的に検討した。Li透過波長域は問題なく、Li放出器(LES)が動作しなかった可能性と背景光が見積りより明るかった点が指摘され、8月27日にJAXAに報告した。国内では米国実験と同じ高度域となるよう一部放出高度を再設定した。LES搭載S-520-26号機は2012年1月12日5:51にJAXA内之浦宇宙空間観測所より打上げられ、室戸、宿毛、内之浦の3地点で明け方発光雲の同時観測に成功した。しかし計3回中1,2回目の放出は観測できずLESの問題点が判明した。観測では高S/N機器を投入し6:03から日出30分前の6:42まで39分間追跡、6倍のS/N向上を実証し、高度127-76kmの風速を得た。一般市民も視認できる可能性がありweb等で情報公開した結果、報道でも多数紹介頂き市民から撮影結果を送付頂き解析時の理解に貢献した。1,2回目放出が成功せず肉眼では確認できなかった。以上、平成23年度にはNASA、JAXA観測ロケットを用いLi放出を2回実施、明け方の観測に成功したが条件の厳しい昼間の観測結果は得られなかった。Li噴出量と撮影不調の関係は、明け方実験の発光強度を精査し調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国の昼間実験では科研費採択前より入念に準備し挑んだが昼間条件下の撮影で発光を確認できなかった。一方、明け方の発光雲観測には成功し高S/N撮像装置の性能は検証でき定量的データを得た。背景光見積りに不正確さが残る可能性があり、放出装置側の不具合の可能性も高い。日米2回の実験実施で大いに進捗したが、やや遅れている、と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は夏頃に日米の研究者にて結果検討会を実施し、今後の方策を決定する。現状では平成25年度の6月頃に米国での2回目の実験実施、同じ夏頃に国内での別のリチウム放出実験を予定しており、共同研究者等と調整しつつこれら実験を成功に導くため、平成24年度には航空機の導入など観測方法の検討と撮像機器の更なる高S/N化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本科研費は平成23年度の米国実験旅費にほぼすべてを投じたため、残り年度の配分額はあまり残っていないが、打合せ旅費、上述の機器改良、ならびに来年度の実験旅費の補助に充当する予定である。2回目の米国実験の旅費は高額のため現状では目処が立っていない。打ち上げ機会の確保はされており、競争的資金等への応募により地上観測に関わる費用の調達が急務である。
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Research Products
(4 results)