2012 Fiscal Year Research-status Report
琵琶湖堆積物の花粉群解析によるMIS1、5e、11間氷期の古気温定量復元
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23540553
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
奥田 昌明 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (10311383)
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Keywords | 古気候 / 琵琶湖 / 完新世 / 最終間氷期 / 表層花粉 / モダンアナログ法 |
Research Abstract |
いわゆる100年後に来ると予想されている「温暖化後の地球」ではどのくらい気温上昇があり得るかを考えるには、過去に実在した「よく似た時代」(アナログ)を探し出し、その時代当時の気温、すなわち「古気温」を調べるのが早道である。そのアナログ候補は、第四紀においてはいわゆる「間氷期」が該当するとされ、とくにMIS1間氷期のピーク(約7千年前)とMIS5e間氷期(約12万年前)が、今のところ可能性が高いと考えられている。この2つの時代を含む堆積物コアとしては、日本列島においては、滋賀県琵琶湖から得られた過去15万年間の堆積物(Biw07)が有力である。 そこで本年度は、この堆積物コアに対する花粉分析を実施した。現実には、MIS1部分とMIS5e部分をふくむ全層準の泥試料に対して花粉分析を実施し、過去15万年間の一連連続した花粉データを得た。これは、現状ではクラシカルな化石花粉データ(いわゆる花粉ダイヤグラム)にすぎないが、これに表層花粉ベースのモダンアナログ法を適用することにより、MIS1およびMIS5e間氷期を含む過去15万年間の古気温変遷カーブに変換される。 以上の堆積物コア分析作業と平行して、モダンアナログ法の基礎となる表層花粉データについて、復元精度をあげるための追加採取作業をおこなった。具体的には、現在の琵琶湖より気温が5℃以上高い西表島(沖縄県石垣市)を始めとして、長崎県、高知県、石川県、長野県などにおもむき、植生と表層花粉に関する現地調査をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に記した通り、MIS1、MIS5e間氷期をふくむ琵琶湖コアの分析をおこない、過去15万年間にのぼる化石花粉データを取得できたため。 また、古気温定量復元のためのモダンアナログ法の基礎となる、表層花粉に関する追加調査をおこなえたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に分析したMIS1、MIS5e間氷期とあわせ、今後は、もうひとつの温暖期アナログたるMIS11間氷期(43万年前)の堆積泥の分析をおこなう。 また、これまで取得してきた化石花粉データに対するモダンアナログ法を実施する。 また、モダンアナログ法の基礎となる、表層花粉に関する追加調査をひき続きおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・上記の花粉分析実施のための実験器具などの購入。 ・モダンアナログ法実施のためのパソコン関連消耗品類の購入。 ・表層花粉に関する現地調査実施のための国内旅費の計上。 ・成果出版のための英語論文校閲費など。
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