2012 Fiscal Year Research-status Report
大気圧μプラズマとマイクロバブル技術の融合による新規液中プロセスの開発
Project/Area Number |
23540582
|
Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
|
Keywords | 大気圧プラズマ / 酸素ラジカル / マイクロバブル / 気液界面反応 / 有機物分解 / 滅菌処理 / 水処理 |
Research Abstract |
焼結セラミックスバブラーを用いてプラズマガスを水中に導入した時の水処理効率のガス種(空気、O2、O2/N2混合)およびガス流量の依存性を調べた。紫外線吸収式オゾン濃度計でプラズマガス中のオゾン濃度を測定した結果、検出限界(50ppm)以下であることを確認した。一方、ガス検知管によるO3を含む活性酸素濃度はガス流量に比例して増加し、O2プラズマでは流量1.0 L/分で1000ppm以上を示した。さらに、発光分光分析からもOI、OHの強い発光を観測した。この事から本プラズマ発生方式では酸素ラジカルO*やOHラジカルが主に生成していることが明らかになった。さらに、プラズマ発生部に導入するO2流量の減少と共に活性酸素濃度は単調減少し、流量0.10 L/分で20ppm以下を示した。このプラズマガスのバブリングによるインジゴカルミン水溶液の脱色反応を調べた。その結果、O2プラズマではガス流量(すなわち活性酸素濃度)の増加と共に脱色が急激に進行した。他方、 空気プラズマではO2プラズマの場合と比較して脱色は緩やかに進行した。また、処理水中には高濃度の亜硝酸イオンNO2-の生成を確認した。この事から液中に生成されたNO、NO2等の窒素酸化物による化学反応で脱色が進行すると考えられる。また、O2プラズマバブリング水中のO3、H2O2濃度は共に0.50 mg/L以下であり、このバブリング水(1.0L)にインジゴカルミン粉末10mgを投入したが3週間経過後も完全脱色に至らなかった。この事からO2プラズマバブリングによる急激な脱色反応は、バブルに内包されたO*、OHラジカルによる直接反応、また気液界面でのOH、OOH等のフリーラジカル生成によると示唆される。環境汚水中の大腸菌群の不活化処理にO2、空気プラズマバブリングが有効で、O2プラズマで1.25h、空気プラズマ処理で9h後に陰性反応を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)プラズマガス種(空気、O2、O2/N2混合)やガス流量がインジゴカルミン水溶液の脱色時間に及ぼす影響が明らかになった。本課題で用いる大気圧μプラズマ源はオゾンをほとんど生成せずO*、OHラジカルを多量に生成し、これらラジカルによる気液界面反応で液中プロセスが起こることが明らかになりつつある。また、酸素ラジカル等の生成効率を高める為には、プラズマ生成部に導入するガス流量の最適化が重要である事を示した。 (2) O2プラズマと空気プラズマのバブルングで環境汚水中(100 mL)の大腸菌群の不活化を確認した。さらに、不活化プロセスはO2プラズマガスと空気プラズマガスとで明確な相違があることを明らかにした。 (3)プラズマガスの気液界面で生成するヒドロキシラジカルやスーパーオキシド等のフリーラジカルの検出に関しては、現在外部機関による電子スピン共鳴(ESR)測定や化学的検出手法の検討を行っており今後の課題として残った。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)大容量マイクロバブル発生装置を用いたプラズマガスのバブリング実験による『プラズマとマイクロバブルのシナジー効果』の検証。(2)テレフタル酸等の試薬を用いた化学的検出法を用いた液中のOHラジカルの定性/定量分析。(3)大腸菌、芽胞菌等の不活化処理の評価を、寒天培養法によるコロニー計数することで定量的に調べる。(4)大気圧μプラズマ発生手段をバリア放電、沿面放電に変えた場合のプラズマ気相中のラジカルと液中に生成されるフリーラジカルや活性酸素種の関連をOES、紫外可視吸光度測定、ESR等の手段を用いて明らかにする。 (5)プラズマガス・バブラーの集積化による大容量処理装置の試作と実用化の検討。 (6)プラズマラジカルバブリング法による酸化グラフェン(GO)薄膜作製の可能性の調査。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小型AC高電圧電源(50-100kHz、12kV)、パルス波形発生器、簡易細菌類検査キット(大腸菌群、その他菌類)、マイクロバブル発生装置(大容量)。 国際会議渡航費・参加費(21st International Symposium on Plasma Chemistry,8月4-9日,Australia)、(DPS2013,8月29-30日,韓国)、(ICRP-8/SPP-31,2月4-7日,福岡市) 国内学会(応用物理学会)・研究会への出張旅費・参加費。 試薬、試作機製作の為の材料費、消耗品(電気・電子部品、セラミック管、バブラー)。外部機関(公設試験場等)の設備使用料、試料分析依頼費。参考図書、資料購入費。研究成果論文等の投稿料。
|
Research Products
(4 results)