2011 Fiscal Year Research-status Report
嗅神経及び腫瘍へ集積し高エネルギーを付与する原子核プローブに関する核放射化学研究
Project/Area Number |
23550072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
天野 良平 金沢大学, 保健学系, 教授 (30111769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲山 幸信 金沢大学, 保健学系, 助教 (80313675)
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
志賀 英明 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80436823)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高LET核種 / アルファ核種 / 壊変系列 / 動物実験 / 内部被ばく線量 |
Research Abstract |
本研究課題「嗅神経及び腫瘍へ集積し高エネルギーを付与する原子核プローブに関する核放射化学研究」の目的は、「壊変放射線エネルギーの人体利用」という地平を拓くために「高LET放射性核種の局在部位における付与エネルギー (ミクロ吸収線量)の基礎概念」を、基本的なデータを集積することで確かなものにすることにある。平成23年度の成果について述べる。(1)鼻腔局在集積の201Tlについて付与エネルギーを評価する課題について進展した。即ち、電子捕獲壊変(EC)の201Tlの時間的・空間的な局在移行・集積性が、マウスについて検討され、およびその鼻腔及び嗅神経の局所場におけるミクロ放射線吸収エネルギー(ミクロ内部被曝線量)が計算された。細胞レベルの組織化学的変化についても検討された。(2)腫瘍組織局在のアルファ核種における付与エネルギーについて検討してきた。先ず4壊変系列のうちのウラン系列、238Uα234Thβ234Paβ234Uα230Thα226Raα222Rnα218Poα214Pbβ214Biβ214Poα210Pbβ210Biβ210Poα206Pb、について検討を始め、特に234Thβ234Paβ234Uの234Thのβ線に先ず注目し、次にアクチニウム系列の235Uα 231Thβ231Paα227Acβ227Thα223Raα219Rnα215Poα211Pbβ211Biα207Tlβ207Pb、の227Thのα線と比較することとし、標識薬剤の検討に入った。現在も検討中である。(3)エネルギー付与についてMIRD法の適用性を考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」は、「高LET放射性核種の局在部位における付与エネルギー (ミクロ吸収線量)の基礎概念、を基本的なデータを集積することで確かなものにする」である。この点について、鼻腔局在集積の201Tlの検討については「おおむね順調に進展している」と評価し、腫瘍組織局在のアルファ核種の検討については「やや遅れている」と評価する。総合としては「おおむね順調に進展している」としたが、アルファ核種の検討については下記のような問題点があった。その点につき箇条書きに述べる。(1)アルファ核種の取扱の困難さ(2)被災した施設における核種の譲渡等の困難さ以上を踏まえて、201TlとTh同位体の研究で、所期の目的を達することができるかどうかの検討を行っている。引き続き、アルファ核種として何を選択するかが重要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に推進させるための方策として平成23年度の反省に立ち次のように考える。(1)鼻腔局在集積の201Tlについて付与エネルギーを評価する課題について、引き続きMIRD法の考え方も入れ、検討を加速させること。(2)腫瘍組織局在のアルファ核種における付与エネルギーについて、研究評価すべきアルファ核種の選定を急ぐ。先ずは、234Thのβ線と227Thのα線と比較することを優先すること。次に、他の組み合わせも考える。(3)201Tlと234Thと227Thの比較研究を促進させること。このような考えに立ち、平成24年度計画を策定した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度(平成23年度)においては、「達成度の自己評価」でも述べたように、被災した施設における核種の譲渡等の困難さを伴い、研究材料であるアルファ核種の入手・取扱の困難さあり、当該研究費の計画が難しかった。 当該年度(平成23年度)の成果と反省を基に、次のように展開する。1.引き続き、4壊変系列(ウラン系列、アクチニウム系列、ネプツニウム系列、トリウム系列)より様式が異なるTh, Ac, Ra, Bi, Pb, Tlの複数核種の対に注目し、検討課題の核プローブとしての有望性な同位体を選定する。優先的に、201Tlと234Thと227Thについての知見を得ていく。(a) 既出では、227Th,223Ra,225Ac,213Bi,211At,201Tlについて、先ず検討する。(b) 標識キレートについてその生体内安定性と分布について動物実験で検討する。(c) 特に、親核が生体に局在した後の逐次壊変して出来た娘核のホットアトム効果も追跡する。(d) 局所へのミクロ内部被曝線量を考察するための基礎知見を提供する。2.嗅脳MRI及び201Tl SPECTイメージングおよびその定量化を検討する。(a) MRIで描画出来ない視神経、しにくい嗅球を、201Tl SPECT描画する手法を確立する。(b) 鼻腔、嗅球201Tl放射能の局在強度を定量する。3.227Thおよび223Ra, 201Tlについて「局所部位でのエネルギー付与」について議論する。
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[Journal Article] Biological safety of nasal thallium-201 administration : a preclinical study for olfacto- scintigraphy.2011
Author(s)
Washiyama, K., Shiga, H., Hirota, K., Tsuchida, A., Yamamoto, J., Yagi, S., Yoshizaki, T., Furukawa, M., Amano R., Miwa, T.
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Journal Title
J. Radiation Research
Volume: 50
Pages: 450~455
DOI
Peer Reviewed