2011 Fiscal Year Research-status Report
有機―無機ハイブリッド型高選択一酸化窒素センサーの開発
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23550073
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 智宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70270999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米村 俊昭 高知大学, その他の研究科, 教授 (90240382)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | センサー / 金属錯体 / NO高選択 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体な一酸化窒素を高選択的に検出し定量化が可能なセンサーを構築することにある。平成23年度の目標は次にあげた3つであり、順次概要と実績について説明する。1.物理吸着を利用した機能成分子の電極化: 金電極を用い、機能成分子が溶解した溶液中に浸漬することで物理吸着を試みた。吸着の時間依存性を検討したが、浸漬時間1時間程度から長く放置しても吸着量に変化はなかった。これは洗浄時に表面と相互作用していない分子がほとんど洗い流されていると考えることができる。また電気化学的挙動の大きな変化から表面への吸着により分子構造の変化や表面と金属イオンの直接的な相互作用が生じていると考えられ、多くの分子が電極表面と水平に相互作用していることが考えられる。2.高分子被覆を利用した電極の作成: 高分子マトリックス内に機能性分子を閉じ込めることで、物理吸着で美売られる電極表面からの脱離を防ぐことを目的としておこなった。本行程では、チオフェンなどのモノマーと機能成分子を溶液中に溶解し、電極電位を変化させることにより重合過程で機能成分子がマトリックス内に取り込まれることを期待した。結果として機能性分子がチオフェンの酸化重合条件化で分解するなどの現象がみられ、本行程の見直しが必要であることがわかった。3.化学吸着が可能な官能基を導入した新規錯体系の構築と一酸化窒素との反応性の検討: 上記1,2より確実にかつ安定に表面修飾が可能である化学修飾を検討するために必要な官能基を導入した新規錯体の合成を行った。一般的によく行われているアミド結合を介して表面への修飾が可能となるようにアミノ基を導入し、錯体の合成に成功した。NOとの反応性・選択性も維持されていることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「実績概要」に示したように、物理吸着での表面修飾状態の制御が比較的困難であったことや高分子マトリックスを利用した電極表面固定化において酸化分解がおこるなど予想外の結果が得られ若干の遅れはあるものの、化学修飾可能な新規機能性分子の構築ならびに物性評価の結果、導入前の機能成分子の性質を維持した状態で修飾基の導入に成功したことがわかったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
物理吸着については、電極の種類を変えることで表面との相互作用が制御可能かどうか検討をするとともに、一酸化窒素と修飾電極との相互作用について定量的に評価していく。また、高分子マトリックスについては、修飾方法を見直し、カルボン酸等アミノ基と相互左様可能な官能基を有するチオフェンなどのモノマーを用いてあらかじめ電極表面に修飾を行い、その後に機能性分子を電極表面と化学結合により導入する方法を試み、電極の評価とNOとの反応性について評価する。さらに化学反応で修飾された機能成分子の表面配向性を、浸漬時間、温度などのパラメータを用いて制御し、その表面状態について評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では全般的に既存装置を用いることで評価を十分に検討できることから、大型設備等設備備品に関して出費する予定はない。平成23年度には、高分子マトリックスを用いた電極固定化実験において機能性分子の酸化分解がみられたため、電極への修飾実験を十分に行うことができず、繰越金が生じた。ここでは電極に対する修飾を行う前に重合条件や重合分子に必要な電位の制御実験など基礎となる情報の収集をする必要があり、24年度には多くの電極ならびに修飾分子を必要とする。次年度の研究推進方策で記載した方法を遂行するために、前年度の問題点(前述)を検討するための電極が複数必要であり、かつ機能性分子や高分子ポリマーなどの有機試薬も多く必要であることからこれら項目に対して700,000円、合成、測定用の溶媒に対して400,000円、ガラス器具等の消耗物品費に500,000円、計1,600,000円計上する。また国内・海外の学会等での成果報告や情報収集を含めた学会参加費・交通費としての経費(655,000円)を計上する。その他論文投稿等成果報告費として100,000円を計上する。
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Research Products
(11 results)