2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23550103
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西野 智昭 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80372415)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 分子探針 / 相互作用 / 電子移動 / 分子エレクトロニクス / DNA / バイオセンサ |
Research Abstract |
本研究では,研究代表者がこれまで開発した,分子探針を用いる走査型トンネル顕微鏡をさらに発展させ,単一分子-単一分子間の電子伝導を定量評価できる初めての手法を開発する.上記の電子伝導は,ボトムアップ型分子デバイスに本質的に関与するため,本手法は,その創製において不可欠なものになると考えられる.さらに,化学的刺激による単一分子間の電子伝導のスイッチングなど新奇現象を探索する. 上記の当初研究目標に対し,始めに,単一分子-単一分子間の電子移動を定量評価できる手法を開発した.これによって,代表者らは,単一の水素結合を介した電子移動を初めて定量し,共有結合を介した場合よりも抵抗が低く,有利な電子移動が生じることを明らかにした.また,水素結合を形成している単分子-単分子間に金属イオン加え配位結合を形成するとさらに抵抗値が低下し,単一分子界面における電子伝導のスイッチングが可能であることを示した.さらに,電荷移動相互作用を介した電子移動について検討し,電子供与体-受容体の単一分子ペアが整流素子としての特性を有することを示し,この整流特性を単分子レベルにて定量的に評価した. 応用研究として,生体内における分子認識に伴う単一生体分子の電子伝導特性の変化を明らかにした.具体的には,DNA二本鎖が形成される際の動的な電子伝導変化を単一分子レベルでその場計測し明らかにした.相補,非相補による電子伝導の違いを見出し,これに基づき,DNAの単分子検出を実現した.さらに,DNAメチル化によっても電子伝導に違いが生じることを明らかにし,ミスマッチ,メチル化などDNA塩基変異に対する単分子検出法として提案した.
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