2011 Fiscal Year Research-status Report
磁気分離を利用したバイオセンシング用実試料前処理法の開発
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23550109
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
永谷 尚紀 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90351072)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イムノクロマト法 / 磁性微粒子 / 磁気分離 / バイオセンサー |
Research Abstract |
インフルエンザ迅速診断、妊娠検査薬で使用されているイムノクロマト法は、簡便で迅速な測定が可能であり、食品中のアレルギー物質の検出などにも利用されている。しかしながら、だ液や血清からストレスマーカー、ガンマーカーを検出する場合、測定感度のばらつきが問題となる。これは、だ液、血清などの実試料では、個人によって試料中に含まれる夾雑物が非特異的に吸着することや試料間での粘土等が異なり溶液の展開速度が異なっているためと考えられる。そこで、だ液をモデルケースとしてだ液中に最も多く含まれるタンパク質であり粘性にも関係するムチンを磁気分離によって除去し、ストレスマーカーとしても測定されている分泌型IgAの検出をイムノクロマト法にて行った。 抗ムチン抗体をプロテインA被覆磁性微粒と反応させ、ムチン分離用磁性微粒子を作製し、一定量のだ液に対してムチン分離用磁性微粒を加える量を増やしてムチンの分離を行い、イムノクロマト法にて検出を行ったところ、ムチン分離用磁性微粒の量を多くして、ムチンの分離を行なうほど、イムノクロマト法での検出結果を示すテストラインが濃くなった。この結果より、だ液中の最も含まれる夾雑物であるムチンを分離することによってイムノクロマト法による検出の高感度化が期待できる。 今回の結果ではだ液中の夾雑物を磁気分離することによってイムノクロマト法による高感度の検出が可能であることが分かったが、夾雑物を分離し高感度化を行うには、多量の抗体と磁性微粒子が必要であることも明らかとなった。測定対象を磁性微粒によって分離し、検出する方法を検討する必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、血清、だ液をモデルケースとして試料中の夾雑物を磁性微粒子によって磁気分離し、イムノクロマト法での高感度の検出を検討する予定であったが、だ液のみしか検討できていない。これは、当初想定していたよりムチンの抗体が高価であり、試料中の夾雑物の分離には、多量の抗体、磁性微粒子が必要であったためである。しかしながら、24年度に実施予定の磁性微粒子を金ナノ粒子の代用としてイムノクロマト法での測定結果を表わす、テストラインの検証を行い、金ナノ粒子-タンパク質(測定対象)-磁性微粒子の様な複合体を用いる必要性があることも既に明らかにしている。また、24年度は、当初より試料中の測定対象を磁気分離後に検出を行う計画であり、夾雑物を分離することよりも、測定対象を分離した後に検出する方法の重要性が本年度の結果で明らかとなっており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、試料中に存在する夾雑物ではなく、測定対象を磁気分離し、イムノクロマト法、吸光度、蛍光、電気化学測定などを用いた高感度の検出方法の構築を目指す。タンパク質だけではなく、PCR等によって増幅した遺伝子の検出にも磁性微粒子の適用による高感度な検出方法を検討する。また、25年度には、磁気分離を行い測定対象を検出する磁気分離用バイオチップを試作する予定であり、バイオチップでの磁気分離方法、検出方法を決定できるようなデータを収集し、磁気分離用バイオチップを試作し、磁性微粒子を用いた磁気分離を利用した高感度の検出方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、測定対象を磁気分離し検出を行う、磁気分量バイオチップを試作するための基礎データを収集するよていであり、物品費に関しては、抗体、磁性微粒、印刷電極、遺伝粗増幅のためのプライマー等の消耗品に使用する予定であり、旅費、その他に関しては、学会出の研究成果の発表、参加費で使用する予定である。人件費、謝金に関しては、データ等の整理でのアルバイトに対する人件費を予定している。
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Research Products
(1 results)