2012 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化ポルフィリン集合体の構造制御と複合機能化に関する研究
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23550153
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 健 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20205842)
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Keywords | 光合成 / ポルフィリン / シクロデキストリン / 自己組織化 / 分子認識 |
Research Abstract |
生体系における分子認識過程や組織的構造体の形成において,非共有結合性の弱い相互作用は重要な役割を担っている。また,光合成系における光集光-電荷分離システムは,多数のポルフィリン様クロモファー分子が非共有結合性相互作用により規則的に配列して集 合体を形成した代表的な大規模自己組織化体である。このような巨大分子系の人工的な再構築は,光合成系の理解という直接的な視点に加えて,大規模機能分子組織体形成のための方法論の開発といった観点からも重要である。本研究は,申請者らが見いだしたシクロデキストリンの包接能を利用したポルフィリン多量体を利用したエネルギー集光と電荷分離システムの自律的形成をめざすとともに,自己組織化体における構造の制御技術の確立するものである。 基本となるシクロデキストリン結合型ポルフィリン分子として,これまでo-位4置換テトラフェニルポルフィリンを取り上げ,そのアトロプ異性体の合成とそれによる集合体形成能をテトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸塩(TPPS)との自己組織化により調査してきた。その結果3個のポルフィリン分子より構成される構造体を形成した。その自己組織化体の形成には立体的な自己包接反応の制御がきわめて重要であり,これをコントロールすることで位置配置や自己組織化分子数を制御できることを示した。今年度は以上の成果をもとにしてより多数のシクロデキストリンを有するポルフィリンを用いるポルフィリン多量体形成を検討し,m-位に8個のシクロデキストリンを有する多置換シクロデキストリンテトラフェニルポルフィリンの合成に成功した。さらにそれのTPPSとの自己組織化能を検討し,分光学的解析により,その構造に関する知見を得るとともに,電荷分離機能の付与の可能性を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,シクロデキストリンの包接能を利用した自己組織化体を基礎にして,各分子要素の自律的な集合および組織化によって構造規制された光合成系類似の三種の機能分子からなる光集光―電子移動システムの構築を目指し,本年度は以下を明らかにした。 【1】8個シクロデキストリンとポルフィリン両方を持つホスト分子の合成に初めて成功した。 【2】これと水溶性ポルフィリンとの錯形成過程の詳細な解析を行い,水溶液中で多数のの異なった金属ポルフィリン分子を非共有結合性相互作用により自律的に特定の位置に配置し,構造の定まったポルフィリン組織体を形成させ,その機能を発現させることに成功した 【3】多数の異種ポルフィリン分子がそれぞれ特定の役割を分担しあう連続的な制御反応場の設計と構築のための手法の確立することができた 【4】光合成系における光エネルギー移動-電荷分離システムのモデル化への多数のアンテナクロモファーを有する構造体への足掛かりとなるとともにナノサイズ構造体のボトムアップ的構築法に新しい分子設計指針を与えることができた
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Strategy for Future Research Activity |
①得られた自己組織化体の構造について,紫外可視分光学的に検討し,平衡過程の解析から化学量論と結合定数を決定する。また,NMRを用いる分子サイズならびにGPC等の分子量測定で構造を確定する。 ②上記自己組織化体のおける光エネルギー移動過程の動力学的解析をおこなう。 ③シクロデキストリンと1つの電子受容性基を持つホスト分子アトロプ異性体の合成法を確立するとともにTPPSとの自己組織化体形成を確認する。 ④自己組織化体内での光エネルギー移動過程の解析と電子受容体内への電子移動過程を 検討するために研究を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・H24研究費の繰越すこととなった理由(繰越研究費が生じた状況) 計画した構造体の合成が順調であったため,試薬等の購入費用が低減し,また,備品類のメンテナンスに費用負担がなかったため当初の予算との差額が生じた。 ・H24繰越額のH25における使用計画 ホスト分子の合成と精製ならびにESI-MSにより構造決定に必要なHPLC用カラムの購入に充てるとともに,海外での情報収集のための旅費に使用する。 ・H25研究費の使用計画 おもに,ホスト分子の合成と分離精製ならびに構造解析のための試薬ならびに実験機器類の購入に充てる。動力学解析のための蛍光寿命測定に必要とされる光学部品,レーザー用消耗品の購入に充てる予定である。また,国内外の学会に出席して成果発表を行う。
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Research Products
(24 results)