2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ポルフィリン集合体の構造制御と複合機能化に関する研究
Project/Area Number |
23550153
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 健 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20205842)
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Keywords | シクロデキストリン / ポルフィリン / 光合成 / 自己組織化 / 超分子 |
Research Abstract |
光合成系における光集光-電荷分離システムは,多数のポルフィリン様クロモファー分子が非共有結合性相互作用により規則的に配列して集合体を形成した代表的な大規模自己組織化体である。このような巨大分子系の人工的な再構築は,光合成系の理解という直接的な視点に加えて,大規模機能分子組織体形成のための方法論の開発といった観点からも重要である。本研究は,申請者らが見いだしたシクロデキストリンの包接能を利用したポルフィリン多量体を利用したエネルギー集光と電荷分離システムの自律的形成を目指した。 基本となるシクロデキストリン結合型ポルフィリン分子として, o-位に4個のシクロデキストリンを有するポルフィリンの四種のアトロプ異性体と,m-位とo-位に八個のシクロデキストリンを有する位置の異なる2個の計6種を新たに合成した。これらホストポルフィリンとの集合体形成能をテトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸塩(TPPS)との組織化により調査した。o-四置換体ではアトロプ異性体による位置関係が異なる構造体の構築が可能であり,自己集合体での位置制御が可能であった。八置換体ではいずれも4個のTPPSと集合体を形成した。エネルギー移動効率を検討したところo-体ではすべてのTPPSが同等のエネルギー移動効率を示したが,m-体では最初に包接する三個のTPPSに比べて最後のTPPSではエネルギー移動効率が大きく減少した。ホスト分子のわずかな位置の違いが集合体の機能に大きな影響を与える貴重な事例となった。このように,自己組織化体の形成と機能発現には立体的な自己包接体の制御がきわめて重要であり,これらをコントロールすることで位置配置だけでなく機能の効率性をも制御できることを示した。以上の成果をもとにo-四置換シクロデキストリンの特定のアトロプ異性体から電子受容機能を有する 分子の結合したホスト分子の合成にも成功した。
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Research Products
(15 results)