2012 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の凝集や失活を防ぐ高分子アディティブの開発
Project/Area Number |
23550189
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白木 賢太郎 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90334797)
|
Keywords | タンパク質 / 凝集 / 高分子 / 溶液添加剤 |
Research Abstract |
荷電相補性高分子アディティブであるポリアリルアミンおよびポリアクリル酸と、タンパク質であるリゾチームおよびリボヌクレアーゼの複合体の構造を、円偏光二色性および蛍光分光によって調べた。その結果、高分子アディティブとこれらモデルタンパク質との複合体は構造に変化がないことを確認できた。さらに、高濃度の塩を加えることで高分子アディティブをタンパク質から解離させたときの残存活性と立体構造を円偏光二色性および蛍光分光によって調べた。その結果、いずれの酵素も残存活性が残っており、立体構造も変化しないことがわかった。 さらに、ここで確立した系を用いて、モデルタンパク質から産業酵素への展開をはかった。糖質関連に広く用いられる産業酵素であるαーアミラーゼやβーガラクトシターゼに対して、モデルタンパク質と同様に高分子アディティブが結合するかを調べた。その結果、これらの酵素の立体構造を変化させずに高分子アディティブが結合できることがあきらかになった。興味深いことに、プロテアーゼであるキモトリプシンに高分子アディティブを加えると、活性が増加するという現象があきらかになってきた。この現象は産業展開にも有利な現象である。分子機構はまだ明らかにできていないが、おそらく高分子アディティブと基質との静電的な相互作用によって、基質のキモトリプシンの触媒中心にあるみかけの濃度が高まったことによるという仮説が成りたつ。今後、研究を深めていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質・高分子アディティブ複合体の形成に成功した。さらに形成させた構造はネイティブ構造を保っており、活性が残っていた。さらには活性がインタクトのものよりも増加するという現象も見つかってきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
高分子アディティブとタンパク質の複合体の活性がきわめて増加するという現象をさらに深めるために、酵素の種類および基質の性質を定量的に変化させて原理を明らかにする。そのとき基材表面での酵素活性の残存および、基材からの回収についても想定しておく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
|