2012 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ感染を阻害するシアル酸修飾3―way junction核酸の創製
Project/Area Number |
23550193
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江原 靖人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40251657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開發 邦宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70419464)
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Keywords | インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
現在インフルエンザ治療薬の主流はタミフルをはじめ、インフルエンザ表面のシアリダーゼの機能を阻害する化合物であるが、シアリダーゼの変異速度は非常に速く、タミフル耐性のウイルスも既に出現しつつある。一方、ヘマグルチニン(HA)はウイルスの変異によっても保存される確率が高いため、HAとした化合物は、新型、季節性だけでなく、今後出現するであろうあらゆるインフルエンザに対しても治療効果があると期待される。 これまで、HAをターゲットとし、シアル酸などの糖鎖をポリスチレン、ペプチドなどの高分子に共有結合させた分子が報告されているが、分子量、糖鎖の数、糖鎖の配向が制御された分子を簡便に合成することは困難であった。 本研究ではsialyllactose修飾(dUTP-Sialyllactose)とDNAポリメラーゼを用い、DNA上にsialyllactoseを修飾した化合物を合成した。この化合物を用いると、DNAテンプレートの塩基配列に応じて、導入する糖鎖の数や立体的な位置を制御することができるので、HAの糖鎖結合サイトを考慮した分子設計を行うことができると考えられる。 インフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)とトリ赤血球との凝集阻害実験において、dsDNAに修飾するsialyllactose数の増加に伴い、赤血球凝集阻害定数(KiHAI)が減少した。またDNAの3つのアームにsialyllactoseを6個ずつ修飾した3-way junction DNAにおいてはKiHAI は15nMまで減少し、インフルエンザウイルスと高い親和性を有していることが確認された。DNA上のSialyllactose残基がインフルエンザウイルス上のHAと多点で効率よく相互作用したためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
またDNAの3つのアームにsialyllactoseを6個ずつ修飾した3-way junction DNAにおいてはKiHAI は15nMまで減少し、インフルエンザウイルスと高い親和性を有していることが確認された。DNA上のSialyllactose残基がインフルエンザウイルス上のHAと多点で効率よく相互作用したためと考えられた。これは、インフルエンザウイルスに対する抗体と同等の結合強度を有しており、当初の計画通り進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
またDNAの3つのアームにsialyllactoseを6個ずつ修飾した3-way junction DNAとインフルエンザウイルスとの結合を、QCM、SPR等の測定装置を用いて定量的に評価する。また、H1N1型以外の、種々のインフルエンザウイルスに対しても抗体と同等の結合強度で普遍的に結合することを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
種々の亜型のインフルエンザウイルスの購入 \70,000 x 4種類 QCM,SPRセンサー素子 \10,000 x 20個 その他、細胞培養関連消耗品 など
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