2012 Fiscal Year Research-status Report
金属酸化物を用いる有機薄膜/金属界面制御と有機デバイスの高性能化に関する研究
Project/Area Number |
23550209
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
景山 弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (50294038)
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Keywords | 金属酸化物 / 界面制御 / 有機エレクトロニクスデバイス / 有機薄膜太陽電池 / 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Research Abstract |
有機エレクトロニクスデバイスの性能におよぼす酸化モリブデン (MoO3) 陰極バッファの効果について知見を得るとともに、有機エレクトロニクスデバイスの性能を向上させることを目的として研究を行い、以下の知見を得た。 (1) 有機薄膜太陽電池の性能向上の観点から、これまで検討してきたpn接合型有機薄膜太陽電池に対して、p層およびn層の界面にp型半導体とn型半導体の混合層を挿入したp-i-n接合型有機薄膜太陽電池を作製し、この素子にMoO3陰極バッファーを適用した。MoO3陰極バッファを用いるp-i-n接合型素子は、MoO3を用いないp-i-n型素子に比べて素子性能が向上することが明らかとなり、MoO3陰極バッファがp-i-n接合型素子についても適用可能であることがわかった。また、MoO3陰極バッファを用いるp-i-n接合型素子の変換効率は4.9%であり、MoO3陰極バッファを用いるpn接合型素子のそれ (3.3%) に比べて大きく向上した。 (2) MoO3陰極バッファの有機エレクトロルミネッセンス (EL) 素子への適用可能性を検討することを目的として、発光層のみから構成される単層型のリン光発光有機EL素子を作製し、素子性能におよぼすMoO3陰極バッファの効果を評価した。その結果、MoO3陰極バッファを用いる素子は、MoO3を用いない素子に比べて、発光効率、電力効率および量子効率が向上することを明らかにし、MoO3陰極バッファが有機EL素子にも適用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、MoO3陰極バッファがp-i-n接合型有機薄膜太陽電池にも適用可能であることを示すとともに、この素子が、pn接合型素子に比べてより高い性能を示すことを明らかにした。また、MoO3陰極バッファが単層型リン光発光有機EL素子にも適用可能であることを示しており、本課題は、現在までおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
有機EL素子に関して、発光スペクトルの測定などにより、MoO3陰極バッファによる性能向上のメカニズムをより詳細に検討するとともに、より性能の高い有機EL素子の開発の観点から、MoO3陰極バッファを用いる多層型リン光発光有機EL素子を作製し、その性能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有機エレクトロニクスデバイスでは、材料の純度が素子性能を左右する重要な要因となる。今後使用予定の有機材料は購入時の純度が低いことが予想されるため、平成25年度は昇華精製装置を購入し、材料の高純度化を図る予定である。また、有機薄膜太陽電池、有機EL素子用有機材料や、酸化モリブデン、アルミニウムなどの試薬類、および、蒸着用ボートなど、蒸着装置用の消耗品の購入を予定している。
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