2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子間力制御によるナノカーボン材料の光機能性可溶化剤
Project/Area Number |
23550215
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高原 茂 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (90272343)
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Keywords | ナノ材料 / カーボンナノチューブ / 有機半導体 / 超分子化学 / 可溶化剤 / フォトクロミック / 光反応 / カチオン重合 |
Research Abstract |
これまでに得られた進展,すなわちアルキル鎖の比較的短いジプロピルヘテロコアジアンスロンによってカーボンナノチューブが可溶化でき,さらに可溶化した単層カーボンナノチューブの分散溶液から可視光照射によりカーボンナノチューブが析出することが観察されたことに基づき,アルキル基の異なるベンゾキサンテンやヘテロコアジアンスロンなどの光可溶化剤候補を合成した。これらの化合物によるカーボンナノチューブの可溶化や光析出を調べたところヘテロコアジアンスロンよりも可溶化量が少なかったが,この結果を踏まえて,よりカーボンナノチューブと相互作用の大きいと考えられるジフェニル置換体などの分子設計へ進展させた。本年度,カーボンナノチューブの薄膜形成について鋭意取り組んだ結果,基板表面に微小な膜形成が観測され,基板の表面処理方法を検討し,その成長過程の検討に入った。また,カーボンナノチューブ以外の有機半導体の可溶化と光析出にチャレンジし,有機半導体のひとつであるピセンが可溶化できることを見出した。 また,カーボンナノチューブとジプロピルヘテロコアジアンスロンの錯体がカチオン重合を引き起こすことが示唆される興味深い実験結果がイスタンブール工科大学との共同研究により得られた。 研究成果の発信では,カーボンナノチューブの光機能性可溶化剤としての成果を国際学会であるThe 4th Asian Symposium on Printing Technologyにおける招待講演において発表した。国内では代表的な光化学の学会である光化学討論会で口頭発表した。また,薄膜形成に関して特許出願した。 以上のような最終年度の成果も含めて,目的として挙げたうちの選択的可溶化・光析出には届かなかったが,主目的としたナノカーボン材料の光パターニング技術の原理的な検証は確実にできたものと思われ,今後のこの分野の展開が期待される。
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