2011 Fiscal Year Research-status Report
高圧水中合成金属水素化物微小試料のイオンビーム分析と電子構造分析
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23560009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽田 一雄 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 政彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70222429)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 水素化物分析 / マイクロビーム硬X線光電子分析 / マイクロイオンビーム分析 / 超臨界水中金属水素化物合成 |
Research Abstract |
超臨界軽水中で合成した微小Nb化合物試料について、新しく開発した試料支持法と直径40μmのマイクロビーム硬X線光電子分光法を用いて化学状態分析が可能であることを示した。X線回折法によると、合成した試料は金属Nbと侵入型NbHとから成ると予想されるが、硬X線光電子分光では、少なくとも10 nmの試料表面がNb酸化物(Nb2O5)で覆われていることが明らかになった。より内部に水素化物が形成されていると考えられるが、現時点で光電子分光法による水素化物生成の確証は得られていない。 一方、重水を用いて超臨界重水中合成した試料について、D(3He,p)α核反応を用いた核反応イオンビーム分析を試験的に行った。その結果、X線回折でNbD及びNbD2とから成ると評価された試料についてD/Nb=2±0.9の結果を得、水素化物形成に十分な量の水素がNb試料中に存在することを明らかにした。また、キャピラリによる効果的なイオンビーム集束を行うため、ガラスキャピラリの集束機構について検討するとともに、試料位置を調整するマイクロステージを備えたマイクロイオンビーム分析装置を作製、調整中である。 試料については、連携研究者の協力の下、NbHxの水素組成x = 1~2の作製条件の決定や重水素化試料の作製に成功した。また、Nb以外の金属の水素化についても探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災に起因した予算交付の遅れにより、平成23年度後期に予定していた放射光施設利用の硬X線光電子分析測定は行わなかったが、平成23年度前期の測定により、開発した手法で化学状態分析が可能であることを実証するとともに、試料支持法の問題点を明らかにして改良した。また、平成24年度前期の課題を獲得した。したがって、まだ水素化の確証が得られていないが、硬X線光電子分析による化学状態分析は予定より進んだ成果を得たと自己評価する。 一方、イオンビーム分析による水素濃度測定については、反跳粒子検出法による測定をまだ行っていないが、核反応法を用いた検出に成功し、ガラスキャピラリによるイオンビーム集束機構の解明による効率的なイオンビーム集束の指針やイオンビーム分析測定上の問題点を明らかにできた。このように、平成24年度の分析に向けた準備を整え、ほぼ予定通りに進行していると考える。 試料については、連携研究者の協力により、組成の異なる試料やこれと同様の重水素化試料の作製が可能となり、予定より進んだ準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
震災による交付遅延のため、平成23年度後期の大型施設利用を見送ったが、この費用を平成24年度前期施設利用(成果公開優先利用)に充てる。 大型放射光施設利用による硬X線光電子分析については、新しく整備された広範囲角度分解型電子レンズを用いて化学状態の深さ分析を行う。さらに、試料作製条件を最適化するとともに改良した試料支持法を用いて水素化の証拠を得る。 イオンビーム分析については、キャピラリ集束したイオンビームを用いて核反応法による測定精度の向上と反跳粒子検出法による深さ分析を行い、組成の知見を得る。 化学状態解析については予定より進んだ成果を得たため、この成果を国外国際会議(ICESS 2012)で発表する。イオンビーム分析については国内国際会議(ICACS 25)で発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
硬X線光電子分光測定に関わる利用料・消耗品・旅費:79万円イオンビーム分析に関わる消耗品:33万円成果発表(国際会議参加料・旅費):45万円 合計 157万円
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Research Products
(4 results)