2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560018
|
Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
秋山 賢輔 神奈川県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (70426360)
|
Keywords | 鉄シリサイド / 光化学ダイオード / 助触媒 / 可視光 |
Research Abstract |
光触媒は日本の研究が先進する分野であり、水や空気清浄化技術等で利用され人工光合成への期待もされるクリーン技術である。現状は太陽光の紫外領域での動作にとどまっており可視光応答が課題となっている。一方、鉄(Fe)とシリコン(Si)で構成される鉄シリサイド半導体は良質な薄膜成長技術の飛躍的進展により、光半導体としての基礎物性の理解と発光・受光素子用の応用への研究がこの10年来わが国を中心に進められている半導体である。 本研究は鉄シリサイド半導体の禁制帯幅が0.80(eV)と狭いこと、光吸収係数が1(eV)において10E5(/cm)以上と大きいことに着目し金(Au)を助触媒として担持した光化学ダイオードを作製し、可視光応答可能な光触媒の実現を目的としている。H24年度は光触媒効果による反応の内部因子となる表面積、及び結晶欠陥密度に着目し、低欠陥密度を有し、結晶粒径が制御された鉄シリサイドの合成を検討した。 その結果、電子顕微鏡による粒径評価、フォトルミネッセンス発光特性による欠陥密度の評価結果を合成条件にフィードバックさせることで、シリコン基板表面に導入する表面構造改質を目的とした金属膜の堆積量を最適化し、鉄シリサイド結晶内部の欠陥密度が飛躍的に低下させ、光励起キャリアの拡散長よりも小さな微細粒結晶の合成を実現した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光触媒反応の内部因子となる表面積の増大化、及び結晶欠陥密度の低減という課題に対し、電子顕微鏡によるAuコートSi基板上に形成した鉄シリサイド結晶の初期核形成・粒成長の機構解析、及びフォトルミネッセンス発光特性による欠陥密度評価を行った。その結果、核形成密度の増大化、及び粒成長を抑えた鉄シリサイド結晶成長の最適化が図られ、さらにキャリアが効率良く表面反応に寄与可能な粒サイズへの微細化が達成された。更に結晶内部の欠陥密度の飛躍的な低下が明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度、24年度までに行った低欠陥密度を結晶からなる鉄シリサイド微細結晶に助触媒としてのAuを担持させ、光触媒特性評価を行う。光触媒特性評価では閉鎖循環系触媒反応装置を用いた評価がこの研究分野において主流となっており、25年度ではこの閉鎖循環系触媒反応装置による光触媒反応速度、光応答性の評価を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光触媒特性の評価には閉鎖循環系触媒反応装置を用いた評価が主流となっており、外部成果発表にはこの評価装置での結果が重要となることが判明した。そのため、既存の触媒反応装置を光照射可能な閉鎖循環系に改造する必要があり、その費用に充てる予定。
|