2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560156
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
志摩 政幸 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (70092583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地引 達弘 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (40322094)
菅原 隆志 東京海洋大学, 海洋工学部, 助手 (90456319)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 耐食・耐摩耗性摩擦材 / 表面改質処理 |
Research Abstract |
本研究は、海洋環境中で使用できるトライボロジー特性に優れた摩擦材を、申請者らが開発した表面処理技術を応用して開発するための基礎研究であり、本年度は次を実施した。1)炭素鋼に、耐食性と耐摩耗性を同時に付与する表面改質を行い、人工海水中での評価を行った。その結果、Siとハイス(HSS)の混合粉末で摩擦改質し、その上にZn摩擦コートすることにより、耐食性をもち、また耐摩耗性のある炭素鋼を作れることを示した。そのメカニズムとして、混合粉末処理による表面層の硬化およびZnコートによるカソード防食作用にあることを明らかにした。これらの結果は、適切な表面改質処理を行うことにより、耐食性のない材料であっても海水中で使用可能な材料とすることが可能であることを示したものであり、学術的にも工業的にも意義がある。2)クロムモリブデン鋼にDLC膜を被覆し、人工海水中におけるDLC膜の寿命を往復摩擦およびフレッチング試験を行って調べた。また、DLC膜の寿命の改善を図るための1つの試みとして、カソード防食効果を期待して試験片端面にZnを摩擦コートした。その結果、Znの摩擦コート処理は、DLC膜の寿命を格段に向上させることを見出した。この結果は、耐食性のない基材表面に施されたDLC膜を海水中で使用するための新たな知見を得たものであり、学術的にも工業的にも重要な意義を持つものである。なお、これらの結果は、すでに日本マリンエンジニアリング学会誌に論文として掲載された(同学会誌、第47巻第2号、平成24年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由1) 耐食性のない材料を海水中で使用できる摩擦材とすることができる可能性を見出したこと。理由2) DLC膜を海水中で使用する際の改善方針を見出したこと。理由3) 以上の知見により、海洋環境中で使用できる摩擦材を開発するための指針を得たこと。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、耐食性のない材料を用いた研究を実施したが、その研究をさらに進めるととみに、耐食性のある金属(ステンレス鋼、チタン合金など)を用いた研究を進める。具体的には次のとおりである。1)ステンレス鋼(SUS304)に被覆したDLC膜の耐摩耗性改善に関する研究を行う。2)ステンレス鋼およびチタン合金表面への摩擦改質による、トライボロジー特性(耐摩耗性向上、摩擦低減など)を試みる。3)初年度実施の結果評価及び論文等の公表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要な設備(表面改質処理機および各種評価機器)は、ほぼ現有できたので、次年度は次に研究費を使用する。1)試験片、粉末などの購入2)元素分析の外注費用3)学会発表のための旅費4)論文投稿費用
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