2012 Fiscal Year Research-status Report
四角穴パターンを有するダンパシールにおける穴形状パラメータの最適化
Project/Area Number |
23560157
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
金子 覚 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90161174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 裕生 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (20334691)
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Keywords | 四角穴シール / 漏れ流量 / 動特性係数 / ふれまわり周波数比 / 入口旋回流速度 / 穴形状パラメータ / 穴寸法 / 穴数 |
Research Abstract |
本研究はポンプの高効率化,高安定性に寄与する液膜シールの開発を目的として,しゅう動面に四角穴パターンを有するダンパシールを対象に,穴形状パラメータ(穴寸法,穴数,穴の配置)が静特性(漏れ流量)および動特性(動的流体力,動特性係数)に及ぼす影響を理論的,実験的に解析するものである.平成24年度の研究実績は以下の通りである. 1.四角穴シールの静および動特性に関する数値計算 (1) 解析条件の拡大:従来解析困難であった解析条件(運転条件,シール形状など)を拡大するため,運動方程式の離散値化の再チェックし,シール流入端に風上差分を新たに導入した.その結果,解析可能な条件が広がった. (2) 計算精度の向上:収束判定条件(特に圧力)を厳しく取ることにより,動特性係数の解の精度向上させた(正方向,負方向に変動を与えたときの解の不一致程度を小さくした). (3) 四角穴の寸法,数が,静特性(漏れ流量,静的液膜反力)および動特性(動特性係数,ふれまわり周波数比(不安定振動を引き起こすふれまわり速度の範囲))に及ぼす影響を調べた.その結果,四角穴の数,深さが大きくなると漏れ流量が減少し,入口旋回流速度がふれまわり周波数比に及ぼす影響は小さくなることが明らかになった. 2.四角穴シールの実験 (1) 実験装置の改修ダ:シールすきま等の寸法精度向上をはかるため,シール外周部とシール保持部(ハウジング)を再加工した.配管系を改修し管路の損失等を低減した.(2) 測定系の改良:実験中のデータ処理の自動化を促進するため,データ処理プログラム(Labview)に改良を加えた.またふれまわり周波数の測定を正確にするため,ふれまわり運動に同期するパルス信号導入システムを構築した. (3) 静及び動特性実験:平行環状シールと四角穴シール(1種類)の漏れ流量,動的流体力を測定し,動特性係数を算出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析では,四角穴の寸法,数をパラメータとして静特性(漏れ流量)および動特性(動特性係数,ふれまわり周波数比)を算出した.また入口旋回流速度と周方向流速の分布,動特性係数及びふれまわり周波数比の関係に及ぼす穴パターンの影響を調べることができ,これは当初の計画よりも進展している. 一方,実験ではシール,シール支持部等の改修,配管系の改修,測定系の改良がなされたが,予想以上に時間を要したため,四角穴シールの静特性実験(漏れ流量および液膜圧力分布測定)及び動特性実験(同心ふれまわり運動を与えたときの動的液膜反力測定と動特性係数の算出)が限られた条件のみしか実行できず,計画より遅れている. 以上総合的に判断して,“おおむね順調に進展している”と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 四角穴シールの静特性および動特性実験 (1) シールすきまの大きい条件下での実験を行うため,軸直径の小さなロータを新たに製作する. (2) 静特性実験:四角穴数の異なるシールを用いて静的平衡状態下(ロータが自転運動のみの場合)で種々の運転条件(シール両端の差圧,自転速度)に対して,漏れ流量および液膜圧力分布を測定する.数値解析モデルに適用する急拡大部の損失係数の精度向上をはかるため,実測した圧力分布からも拡大損失係数を直接求める. (3) 動特性実験:ロータの同心ふれ回り運動に対する動特性(動的流体力,動特性係数)を測定する. 2. 四角穴シールの数値計算とその妥当性の検証:四角穴数をパラメータとして,四角穴シールの漏れ流量,動特性係数,ふれまわり周波数比を算出する.また,実験結果との比較により,解析モデルの妥当性を検証する. 3. 四角穴パターン設計指針の提案:四角穴数,穴寸法(穴断面積,穴深さ)を穴形状パラメータにして漏れ流量,動特性係数,ふれまわり周波数比を数値計算する.これら諸量(漏れ流量,動特性係数およびふれまわり周波数比)とロータ自転速度または入口旋回流速度との関係を,各形状パラメータごと調べる.さらに適当なパラメータを導入して,各形状パラメータで得られたいくつかの関係を一つにまとめ,そのパラメータの関数で近似できるようにする.その結果を用いて,静特性および動特性向上を目的として,漏れ流量の低減および動特性に及ぼす入口旋回流速度の影響を低減できる四角穴パターンの設計指針を与える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は四角穴数をパラメータにした静及び動特性実験を広範囲の条件で行うために,消耗品として,軸直径の小さいロータの製作費,ロータの自転及びふれまわり運動を支持する転がり軸受などを計上する.
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