2012 Fiscal Year Research-status Report
安価な砂鉄、珪砂等を用いた自然系液体用しゅう動材料の開発
Project/Area Number |
23560177
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村上 敬 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (40344098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 裕子 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (50357844)
間野 大樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (40344212)
松崎 邦男 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究グループ長 (20181711)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 金属物性 / 環境対応 / 材料加工・処理 |
Research Abstract |
平成23年度までに低摩擦(摩擦係数0.10程度)・低摩耗(比摩耗量10-6~10-7mm3/Nm程度)であることを明らかにしているFeSi2系合金について、エタノール中でさらに低摩擦・低摩耗である条件を探索し、その結果、摩擦係数0.5~0.7、比摩耗量10-6~10-7mm3/Nmになる組成のバルク状焼結体を作成することができた。 一方でパックセメンテーション法を用いて、シリサイド、アルミナイド、ボライド及びクロム炭化物を鋼や片状黒鉛鋳鉄試験片全面に形成させ、このうちアルミナイド、ボライド及びクロム炭化物被覆試験片については、高硬度で密着性の良い被膜を得ることができた。さらにこれらの試験片は、添加物無添加の潤滑油での摩擦試験中、しゅう動表面に水酸化アルミニウムやホウ酸など低摩擦化合物を生じることで低摩擦・低摩耗になることがわかった。 しかしシリサイド被覆試験片については高硬度で密着性の良い被膜を得ることができなかった。そのためホットプレス中で拡散処理を行うなどの工夫も行ったが、あまり改善は見られなかった。この原因としては、鉄原子が基板内部から基板表面に拡散し、カーケンドールボイドが形成されやすいことが考えられ、今後、二重拡散法などを用いたり、拡散処理を行う基板の組成を変えるなどの改善が必要であると考えられる。これらの改善を行いながら、上記で述べたような摩擦係数0.5~0.7、比摩耗量10-6~10-7mm3/Nmになる組成の被膜試験片作成法を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パックセメンテーション法などによるコーティングについては改善が必要であるが、前年度までより低摩擦(摩擦係数0.5~0.7程度)・低摩耗(比摩耗量10-6~10-7mm3/Nm程度)のFeSi2系バルク状材料を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は単なるシリコン拡散で高硬度かつ密着性の良いシリサイド被膜を得ることができなかったため、平成25年度は二重拡散法などを用いたり、拡散処理を行う基板の組成を変えるなどの改善を行う。このような改善により平成24年度に明らかにした摩擦係数0.5~0.7、比摩耗量10-6~10-7mm3/Nmになる材料組成の被膜試験片を作成する。また同時にアルミニウム、ボロン、クロム拡散を今回の低摩擦・低摩耗コーティング開発に応用できるかどうかについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パックセメンテーション法などによる鋼、鋳鉄基板へのコーティングについて、より改善が必要なことがわかったため、平成25年度に行うコーティング法の改善、及び平成25年度に得られる予定の高硬度・高密着性試験片の摩擦試験を平成24年度予算の一部を平成25年度予算と合わせることで実施することにした。
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