2013 Fiscal Year Annual Research Report
渦ゆらぎの制御を用いた快適な空調環境と食品の自然乾燥に関する研究
Project/Area Number |
23560186
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
李鹿 輝 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00253906)
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Keywords | 渦 / ゆらぎ / 快適環境 / 食品乾燥 / 自励起振動 |
Research Abstract |
21世紀は『ひと(人)』の時代と言われ、物質的、精神的に豊かで安全かつ楽しい人間社会が求められている。近年の夏には記録的な猛暑や熱帯夜の増加により、居住などに快適な環境の整備は緊急な課題となる。これまで、夏の蒸し暑さへの対応として、扇風機やエアコンを有効に利用してきた。しかし、人間は扇風機や空調機の風よりも窓から入る自然の風のほうを快適に感じる。原因は自然風の気流ゆらぎの中にカオス的な性質があることがよく知られている。この物理現象の本質としては、自然風に含まれている3次元渦はゆらぎ特性が存在すると考えられる。すなわち、自然風は空間的・時間的にゆらぎ特性をもつといえる。 本研究は、自然の風に近い快適な渦ゆらぎを発生する渦ゆらぎ発生装置の実用化を目的とする。これまで、さまざまな形の鈍頭物体の渦放出過程のゆらぎ現象を研究し、周波数―空間―時間においてゆらぎ特性を定量的に明らかにした。これらのゆらぎ特性に及ぼすレイノルズ数、主流乱れ、物体形状・数等の影響について検討した。今年度には、流れの中に置かれる柔いフィンが自励起振動により大規模乱流組織渦(放出渦)について、熱線流速計、可視化技術及び粒子画像速度計測法(PIV)等を用いて様々な風速においてソフトフィンが発生した流れ場を計測し、フィン振動周波数との関係を調べた。ウェーブレット変換・FFTにより、周波数―空間―時間においてゆらぎ特性を定量的に明らかにした。また、フィンが発生する共振の流れ条件を解明した。さらに、心地良い自然の風の渦ゆらぎのソフトフィン発生装置を作ることを試みた。 一方、食品乾燥の研究では、ソフトフィンにより発生した自然風に近い渦の流れを食品乾燥に応用した。方法として、小型低速風洞の中にゆらぎ渦の流れを発生させ食品乾燥試験を行い、得られる試料の性質について検討・評価した。
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