2011 Fiscal Year Research-status Report
飛躍的な省エネルギー化を実現する劣駆動フレキシブルマニピュレータの制御法の確立
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23560274
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
阿部 晶 旭川工業高等専門学校, システム制御情報工学科, 准教授 (30313729)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フレキシブルマニピュレータ / 運動制御 / 振動制御 / 省エネルギー |
Research Abstract |
はじめに,第1リンクが柔軟リンクの自由関節,第2リンクが剛体リンクの駆動関節で構成される柔軟劣駆動マニピュレータを扱い,自由関節の位置決め制御を実施した.この目的のために,最適レギュレータに基づくフィードバック制御を適用した.また,適切な状態フィードバック制御を実現するために,スライディングモードシステムを利用した平滑値・微分値推定フィルタであるESDSを適用した.モデル実験から,本手法の有効性を確認した.次いで,柔軟ベースに搭載されたロボットアームのPoint-To-Point (PTP)制御問題を扱い,振動抑制を目的としたニューラルネットワークによる軌道計画法を提案した.柔軟ベースの残留振動を抑制するために,柔軟ベースの変位の総和を評価関数とし,PSOを用いてニューラルネットワークを学習させた.このニューラルネットワークで生成された軌道でロボットアームを駆動すると,残留振動抑制が実現される.すなわち,フィードフォワード制御が確立される.数値シミュレーションおよびモデル実験を実施し,提案された軌道計画法の有効性および実現性を確認した.さらには,1つのモータのハブに2つの柔軟マニピュレータが搭載された柔軟デュアルマニピュレータシステムを扱い,PTP制御時の残留振動抑制を目的としたフィードフォワード制御をも提案した.フレキシブルマニピュレータの高精度なモデルを得るために,大変形理論を適用してフレキシブルマニピュレータの運動方程式を導出した.フィードフォワード制御法として,残留振動が抑制される関節角軌道を探索した.ここで,関節角軌道を3次のスプライン関数で記述し,その補間点を探索パラメータとして残留振動が抑制されるようPSOを用いて最適化を図った.数値シミュレーションを実施し,提案手法の有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,ロボットマニピュレーション技術の飛躍的な省エネルギー化,すなわち,グリーンイノベーションの促進を目的とした,フレキシブルリンクから構成される劣駆動マニピュレータのPoint-To-Point (PTP) 制御法の確立を目指すものである.本年度においては,第1リンクが柔軟リンクの自由関節,第2リンクが剛体リンクの駆動関節で構成される柔軟劣駆動マニピュレータのPTP制御をフィードバック制御で実現した.また,柔軟ベースに搭載されたロボットアームのPTP制御に対して新たなフィードフォワード制御法を提案した.さらには,フィードフォワード制御法のロバスト性を確認するために,柔軟デュアルマニピュレータシステムのPTP制御に関する研究を実施した.これらより,本研究の目的に対する基礎的知見を得ており,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,第1リンクが柔軟リンクの自由関節,第2リンクが剛体リンクの駆動関節で構成される柔軟劣駆動マニピュレータのPTP制御問題に対して,新たなフィードフォワード制御法の提案を試みる.ここで,自由関節の角度制御と位置決め後の振動が抑制される手法を模索し,提案手法の有効性を数値シミュレーションならびにモデル実験から検証する.また,この手法のロバスト性の妥当性も検討する.そして,ここで得られた知見を基にし,フレキシブルマニピュレータならではの省エネルギー化が飛躍的に図られる可能性を探り,その力学原理の解明を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は,劣駆動フレキシブルマニピュレータの新たな制御法の確立を目指すものである.このような研究を実施する場合,数値シミュレーションだけではなく,モデル実験をも実施し,提案手法の妥当性,有効性および実現性を十分に検証する必要がある.設備備品費および消耗品費は,劣駆動フレキシブルマニピュレータの実験装置開発に使用する.効果的に研究を進める上で,実験装置の製作および実証実験の遂行には実験補助者が必要であり,このために実験補助費を使用する.また,国内外での研究成果発表のために,研究費の一部を旅費として使用する.
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