2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560315
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
垣本 直人 茨城大学, 工学部, 教授 (70136133)
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Keywords | 太陽光発電 / リチウムイオン電池 / 劣化 / 信頼性 |
Research Abstract |
本年度はリチウムイオン電池パックの運用方法と劣化特性についてさらに検討を進めた。 1)太陽光発電の1日の発電量は日射量によって変化する。毎日一定量の電気を供給するため、リチウムイオン電池パックを使用する。電池パックは20個の電池を4並列5直列に接続したものである。実験では、3つのパックを並列している。1日の使用電力量を10Ahとした。電池の容量は30Ahであるが、劣化を考慮してそのうちの20Ahを使用し、10Ahを当日の供給に、残りの10Ahを予備とした。不足日数を日射量のデータから見積もると年間11日、供給が不足する日があることがわかった。2011年9月から実験により検証を行っている。その結果2012年9月までの不足日数は7日であった。マルコフ過程に基づいて理論的な検討を加え、1年間の実験データとともに論文をまとめ、IEEEに投稿した。現在査読中である。 2)電池パックの劣化について1年間を過ぎた時点で容量を測定した。容量はそれほど減少していなかったが、内部インピーダンスが大きくなっており、定格電流を流すと容量に影響がでることがわかった。これは後述するサイクル劣化と異なる変化であり、解析を行った。電池のモデルそのものは変わらないが、パラメータの値はかなり異なることがわかった。 3)電池パックとは別に電池単体および並列接続した4本の電池の劣化特性を測定した。まず、電池単体のモデリングを行い、サイクル劣化についてはかなり正確に表現できるようになった。劣化を組みこむことにより、いくつかの点で従来のモデルと異なる知見を得ることができた。並列接続した4本の電池にこのモデルを適用してシミュレーションを行った結果、劣化が一様に進むことがわかった。これは測定結果と一致するものであり、電池パックが一つの電池として機能することが確かめられた。現在、この結果を論文にまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.日射量データに基づいて太陽光発電の信頼度を検討し、電池によって1日分の予備をもつことにより単独でも年間11日程度の供給不足日数にとどまることがわかった。マルコフ過程によりその理論的な根拠も明らかになった。 2.電池パックの劣化はほぼ一様に進行するため、セルバランス回路は不要であることが平成23年度および今年度の研究から明らかになった。また、電池のモデリングについても順調に進み、並列電池の劣化をシミュレーションできるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本研究で使用するような状況での電池の劣化は、通常のサイクル劣化とはかなり異なる様相を呈する。この点について検討を進めたい。 2.上記のような使用形態における劣化がサイクル劣化と比較して遅いとはいえない。ほぼ2年くらいが寿命ではないかと思われる。したがって、もっと長寿命が期待できる電池を検討したい。 2.パネルの枚数を5枚に増やし、電池パックの電圧を100Vにしたシステムについてインバータ制御を行う。電池パックの電圧を一定に保つように出力を調整する。このような運用において、電池パックが正常に動作することを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電池パックの寿命に関する測定を行うので、電池およびパック用の材料を新たに購入する。また、研究成果の印刷や、計算結果の出力にプリンタ用紙やトナーを使用する。研究成果を国内学会や国際会議で発表するのに、学会参加料および旅費が必要であり、そのために研究費を使用する。
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