2012 Fiscal Year Research-status Report
人体詳細モデルを用いた低・中間周波における接触電流と人体インピーダンスの解明
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23560332
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
林 則行 宮崎大学, 工学部, 教授 (30156450)
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Keywords | 電気の安全性 / 接触電流 / 人体インピーダンス / 人体詳細モデル / 数値解析 / SPFD法 / 体内電流分布 / 中間周波数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)昨年度開発した商用周波数における人体インピーダンスの計測システムを改良し,実測を人体で行なう場合の安全性の確保を行なうとともに,10μAという微小電流で計測できるように測定精度と感度を向上させた。 (2)宮崎大学「医の倫理委員会」において本計測装置の構成や計測時に通電する電流などの申請を行い,人体インピーダンスの計測実験の実施が承認された。承認番号:第2012-017号(平成25年2月20日)。さらに,40Hz~200kHzまで対象とできる人体インピーダンス計測装置を開発し,保護装置を含め,設計どおりの動作確認を行なった。さらに,複数のボランティアを対象に,低周波において予備実験を行い,人体インピーダンスとBMIの間に正の相関があることなどを確認した。本研究で目的としていた人体インピーダンス計測装置の開発が完了し,倫理委員会の承認も得られたので,H25年度には人体インピーダンスに関する本格的なデータ収集が行なえることになった。 (4)変電所作業者の誘導電流の解析を行い,実測値との比較研究を行なった。解析値と実測値には両者には非常に良い一致が得られた。本成果は,本研究で開発したプログラムが電界誘導電流の解析にまで適用できることを示している。 (5)日本人詳細モデルやヨーロッパの人体詳細モデルを用いて,様々な感電シナリオにおける人体内の接触電流分布特性や人体インピーダンスを数値解析した。さらに,数値解析結果と過去のデータとの比較検討を行うことで,数値解析を行う上での問題点の指摘を行った。以上から,今後の数値解析を実施する上での有用な知見を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の研究目的は,(1) 解剖学的に詳細な人体モデルを用いた人体内の接触電流分布や人体インピーダンスの数値解析プログラムを開発する,(2) 数値解析結果に基づいて低周波・中間周波における接触電流分布特性を組織・器官レベルで明らかにするとともに,人体インピーダンスを推定する,(3)人体インピーダンスを実測することで人体インピーダンスに関する最新のデータを収集するとともに,数値解析結果との比較検討を行うことで過去の実測データの有効性や本数値解析モデルの適用性を議論することである。 目的1に関しては,既にSPFD法に基づいた数値解析プログラムを開発し,その解析結果と既存の実測結果を比較・検討することで開発したプログラムの有効性を示した。今後,実験条件に合わせた接触電流や人体インピーダンスの解析が可能となった。したがって,おおむね研究目的は達成している。 目的2に関しては,H23年度とH24年度に日本人詳細モデルやヨーロッパの人体詳細モデルを用いて様々な感電シナリオにおける人体内の接触電流分布特性や人体インピーダンスを数値解析した。さらに,数値解析結果と過去のデータとの比較検討を行うことで,数値解析を行う上での問題点の指摘を行った。以上から,今後の数値解析を実施する上での有用な知見を提供しており,おおむね研究目的は達成している。 目的3に関しては,H24年度に40Hz~200kHzまで対象とできる人体インピーダンス計測装置を開発し,保護装置を含め,設計どおりの動作確認を行なった。さらに,宮崎大学「医の倫理委員会」の承認を得て,複数のボランティアを対象に,低周波において予備実験を行い,人体インピーダンスとBMIの間に正の相関があることなどを確認した。したがっておおむね研究目的は達成している。 以上の結果より,本年度の研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度(最終年度)は,低周波と中間周波領域を解析の対象として,接触電流や人体インピーダンスの数値解析を行うとともに、引き続き人体インピーダンスの収集を行い,これらの特性を考察する。さらに,3年間で得られた研究成果を取りまとめ総括するとともに,次の研究の課題などを明らかにする。具体的には,次のような項目の実験や検討を行う。 (1)H24年度に自作した人体インピーダンス計測装置を用いて人体インピーダンスの実測を継続し,実測結果に影響を与える外的パラメータ(例えば,気象条件,電極条件など)の影響や腕・脚の伸縮状況の影響を検討することで,実測データの分析を行う場合の注意点を明らかにする。 (2)さまざまな感電シナリオに対して人体インピーダンスを実測し,人体インピーダンスの通電経路依存性を明らかにする。さらに,体型の違いが人体インピーダンスに影響を与える影響を検討するために,BMIと人体インピーダンスとの関連性を検討する。人体インピーダンスの周波数依存性を解析と実測で明らかにする。なお,対象周波数は40Hz~100 kHzとする。 (3)接触電流の解析結果に基づいて,様々な感電シナリオや人体詳細モデルに対する人体インピーダンスを計算し,その特性を明らかにする。人体インピーダンスの実測値を,今回求めた数値解析値や従来の値と比較することで,従来の値の有用性を検討するとともに,本数値解析手法の妥当性を検討する。 (4)最後に,本研究で得られた結果を取りまとめと研究成果の総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は約910,000円の直接経費の使用を予定している。その内訳は次の通りである。 (1)物品費300,000円:昨年度,別の研究目的で開発した人体インピーダンス計測装置を,本研究課題でも使用できるように機能を拡張する経費(200,000円),簡易人体モデル製作費に必要な消耗品の購入費(50,000円),その他消耗品(50,000円)を予定している。 (2)旅費460,000円:本課題に密接に関係するセミナーでの招待講演(Tampere大学,フィンランド)ならびに国際会議(BEMS2013, ギリシャ)に参加し研究成果の一部を発表する旅費と会議参加費360,000円,電気学会と電気設備学会で研究成果を講演発表するための旅費と学会参加費100,000円を予定している。 (3)人件費・謝金150,000円:実験補助や実験データ・数値解析データの整理を行う学生アルバイトの延べ180時間・人の雇用経費150,000円を予定している。 (4)その他の経費は予定していない。
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Research Products
(9 results)