2011 Fiscal Year Research-status Report
高圧気相に起因する雷サージ抑制による海浜発電施設の接地雷軽減に関する研究
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23560339
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡野 大祐 東海大学, 熊本教養教育センター, 教授 (00169129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 雷インパルス放電 / 放電開始電圧 / 放電インピーダンス / モルタル / 模擬海水 |
Research Abstract |
標準モルタル(以下、固相と称する)に対して、小振幅信号によるインピーダンス特性、及び標準雷インパルス電源(SLIG)によるインパルス放電様相について実験調査を行った結果をまとめた。(a) 固相のインピーダンス特性 非研磨の円柱両端面間では商用周波数帯域で約5.6 kΩ、雷サージ帯域は100 kHzで約4.1 kΩ、1 MHzで約2.0 kΩを示した。周波数増加でインピーダンスが減少し、減少勾配は100 kHz付近の周波数(fo)で更に増加した。なお、大気中インパルス放電のストリーマインピーダンスを実験的に求める方法を提案(論文及び学会講演にて発表済)して、両者の比較基準を与えた。(b) 固相放電特性のインピーダンス依存性 (1)塩水浸潤固相 固相ギャップ21.5 mmを塩水(導電率4.6 S/m)に17時間浸して実験調査した。固相インピーダンスは9 kΩでfo = 14 kΩであった。50%放電開始電圧(V50)は正極棒では約7.5 kV、負極棒で約4.4 kVであった。放電遅れ時間(td)は正極棒で17μs、負極棒で15μsであった。(2)塩水貯蔵固相 注入塩水面中心位置に棒電極先端、外側面の液面位置に接地棒先端をそれぞれ接触させて実験調査した。固相インピーダンスは1.1 kΩでfo = 400 kΩであった。固相ギャップ21.5 mmのV50は、正極棒で14.9 kV、負極棒で13.4 kVであり、tdは正極棒で11.5 μs、負極棒で12.3 μsであった。(c) 固相電流経路の分布特性 塩水貯蔵固相に対してインパルス放電電流様相を調査した。棒電極極性に関わらず、放電開始電圧程度では固相外側面に分岐状放電発光パターンが発生し、更に電圧を上昇させるとそれまでの沿面放電パターンに加えて強発光のサージ電流が側面を取り囲むように発生した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H23年度提出の研究計画は三つの調査項目から構成されているので、項目毎の達成度についてまとめた。(a)固相のインピーダンス特性 円柱状固相インピーダンスの周波数特性、および桶状固相インピーダンスの周波数特性を二種類の塩水含有条件で調査した。上記調査結果により、標準モルタル試験体のインピーダンス特性を把握できた。しかし、コンクリート試験体については製作が間に合わなかったため、当初の目的は半分程度達成できた。(b)固相放電特性のインピーダンス依存性 塩水浸潤固相および塩水貯蔵固相のインピーダンスに対して放電様相を調査した。上記調査結果により、標準モルタル試験体のインピーダンス状態に依存して放電特性が変化することを把握できた。なお、コンクリート試験体については製作が間に合わなかったため、当初の目的は半分程度達成できた。(c)固相電流経路の分布特性 塩水貯蔵固相のインピーダンスに対して放電電流様相を調査した。上記調査結果により、桶状モルタル試験体表面の任意場所にリヒテンベルグ様の放電パターンが発生するため、定点設置の分割電極による電流捕集が難しいことが判明した。そのため、放電発光路を放電電流経路と対応させることにより、モルタル試験体の沿面電流分布を把握できた。なお、コンクリート試験体については製作が間に合わなかったため、当初の目的は半分程度達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度で未実施であったコンクリート試験体について、インピーダンス特性および放電特性調査を行い、実験結果の検討を行う。(2)コンクリートおよびモルタルの試験体について、気圧条件でのインパルス放電実験を行い、実験結果の検討を行う。(3)コンクリートおよびモルタルの試験体について、気圧条件でのインパルス放電抑制実験を行い、実験結果の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度直接経費からの繰り越し分については、未実施のコンクリート試験体製作および関連する実験データ解析や成果発表に関わる予算であり、H24年度の実施において支出する。(1)実験用として、高圧気相維持装置、回路部品、ガスおよび試験体材料等に支出する。(2)旅費として、国内外の研究成果発表に支出する。(3)その他として、国内外の研究成果投稿、データ処理用PCソフト等に支出する。
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Research Products
(7 results)