2012 Fiscal Year Research-status Report
高圧気相に起因する雷サージ抑制による海浜発電施設の接地雷軽減に関する研究
Project/Area Number |
23560339
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡野 大祐 東海大学, 熊本教養教育センター, 教授 (00169129)
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Keywords | コンクリート / 模擬海水 / 雷インパルス電源 / 放電様相 / パッシェンカーブ |
Research Abstract |
標準コンクリート(以下、固相と称す)の均一厚桶の外部を模擬海水で底厚まで浸した状態で、乾燥空気と共に桶内部で気相と固相を含む複合ギャップ(以下、ギャップIIと称す)を構成した。放電電極はステンレス製で桶内中心線上に配置した棒電極と桶底に接する円板電極を用いた。なお、固相外部を模擬海水で浸潤する理由は実際の海浜発電建築壁の条件に近づけるためである。このギャップIIを対象として、雷インパルス電源によるコロナストリーマ放電様相に関する実験調査を行った。 ①気相-固相放電特性のギャップ長と気圧の積の依存性 気相ギャップ単独のコロナストリーマ放電特性(論文にて発表済)を踏まえて、ギャップIIの放電特性を気相中等価長ギャップ放電に対するパッシェンカーブを用いて検討を行った。本実験ではd (=3.4 cm)を一定としてpを変化させることによりpd値を変化させた。その結果、ギャップIIのpd = 2,584-15,504 Torr・cmに対して、正極棒でVs=21.7-59.3 kV、負極棒でVs=20.0-57.7 kVとなった。これは等価長空気ギャップのVsに比べ、正極棒で約1/8-1/14、負極棒で1/8-1/15に各々相当するが、高圧気相で最大3倍の放電しきい値が得られた。 ②最適放電抑制条件 最大気圧p = 6.0 atmの放電しきい値電圧(57 kV)を一定印加し、放電波形の気圧依存性を求めた。その結果、両極性棒で電流波高値は大気圧に比べてp = 6.0 atmで56.3%に低下した。正極棒は双極性波形がp = 2.5 atmまで続き、それ以降は単極性波形となり、負極棒はp = 1.75-2.0 atmとp = 5.0 atm以降で単極性波形となった。よって、3気圧以上の高圧気相でサージ電力が低下し、サージ波形が無歪みの単極性に収斂する傾向にあるので、これが最適放電抑制条件と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空気(気相)とコンクリート試験体(固相)から構成される複合ギャップ(以下、ギャップIIと称す)のコロナストリーマ放電実験を実施した。ギャップIIの放電特性はギャップ長と気圧の積に依存するため、パッシェンカーブと放電波形の調査を通じて、気相-固相放電特性のギャップ長と気圧の積の依存性および最適放電抑制条件について検討を行い、新しい知見を得ることができた。ギャップIIに組み込まれているコンクリート試験体について、当初の研究目的は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
①乾燥空気中で建築材(コンクリート、モルタル)および模擬海水から構成される気相、液相、および固相から構成される複合ギャップ(以下、ギャップIIIと称す)を対象として、棒対平板電極間の雷インパルス電源による放電実験を行い、建築材の放電様相を実験的に調査する。 ②ギャップIIIの放電実験を踏まえて、放電抑制に効果的な実験条件および対策についてまとめ、海浜発電施設の建築物への雷サージ侵入に対する軽減法をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度直接経費への前倒し予算分を除いた25年度直接経費について、複合ギャップIIIの放電実験および研究成果発表を遂行するために支出する。 ①実験用として、回路部品、試験体材料等に支出する。 ②旅費として、国内外の研究成果発表に支出する。 ③その他として、国内外への研究成果論文投稿、データ処理用PC関連物品等に支出する。
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Research Products
(5 results)