2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560430
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Research Institution | 秋田県産業技術センター |
Principal Investigator |
黒澤 孝裕 秋田県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (60370243)
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Keywords | 電界計測 / 変調散乱 / 光変調 / 誘電体 / 高周波 / EMC |
Research Abstract |
光変調式誘電体散乱電界センサのセンサ性能を評価するための計測系を構築した.高周波電界中に設置した散乱体材料基板に対して遠方から光を照射して光変調式誘電体散乱素子とした.照射光源には出力を矩形波で振幅変調した半導体レーザー(波長638 nm)を用い,散乱体からの散乱波を遠方に設置したアンテナで受信し,光源の出力変化に同期した成分を復調することによって散乱波強度を計測した.この結果,光変調式誘電体散乱素子からの散乱波が遠方まで伝搬して検出でき,電界計測部分である散乱体周辺から信号伝達ケーブル等の金属を除いたワイヤレスな電界センサを実現できた.この計測系は1kHz以上の変調周波数を達成し,従来の機械変調式センサの変調周波数(数十Hz)よりも大幅に高速化された . この計測系を用い,散乱体遠方に設置したアンテナを電磁波源として電界センサの感度及び周波数特性を評価した.その結果,散乱波強度は電界強度に比例し,1GHzで65dBuV/m以上の電界を検出可能な感度をもつことが分かった.周波数特性は,1GHz-7GHzで有効な信号出力が得られること,および,周波数が大きくなるにしたがって出力が大きくなることが分かった.また,散乱体上の光照射径を変えて周波数特性を計測した結果,照射径が大きくなるにつれて散乱波強度が大きくなることが分かった. マイクロストリップラインを電磁波源とし,その近傍に設置した散乱体の光照射位置を掃引して散乱波強度を測定した結果,照射光の空間分布と同程度の空間分解能が得られることを明らかにした.これらのことから,光変調誘電体散乱素子の実効的なサイズを光照射径によって変化可能なことが示唆された. これらの計測において,受信される散乱波の偏波方向は散乱体位置の面内電界方向と一致した.従って,受信アンテナの偏波方向によって,計測する電界の方向を選択可能なことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光変調式誘電体散乱電界センサのセンサ性能を評価するための計測系を構築した.この結果,光変調式誘電体散乱素子から遠方まで伝搬した散乱波が検出でき,電界計測部分である散乱体周辺から信号伝達ケーブル等の金属を除いたワイヤレスな電界センサを実用的に作成できることが示された.構築した計測系を用い,散乱体遠方に設置したアンテナを電磁波源として,電界センサの感度及び周波数特性を定量的に評価した. これらの結果から,「散乱波強度と周波数の関係を明らかにする,および光変調式誘電体電界センサの測定感度を見積もる」という目的は達成できたと考えられる.これら項目は平成24年度研究実施計画に挙げられており,研究はおおむね予定どおりに進行していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度実施計画に沿って進める.散乱体の高速変調についてさらに検討し,光変調方式の変調周波数をさらに大きくするための条件を見出す.最終的に,センサとして動作する散乱体部分で被測定電界を高い周波数に変換して散乱波強度を大きくすることで,誘電体散乱を利用した電界センサの検出感度が従来法よりも向上できることを明らかにする.これにより,誘電体散乱による電界測定が適用可能な周波数範囲を拡大できることを示す.また,本事業期間全体に渡って得られた成果を取りまとめ,発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に導入したレーザー光源が,当初見積りより安価に購入できた分の剰余がおおむね繰り越されており,次年度に使用する研究費が生じた. 次年度研究費1324千円は消耗品,旅費,その他,に使用し,設備備品の導入予定は無い. 消耗品は504千円を予定している.内訳は,誘電体基板100千円,光学部品100千円,電子部品204千円,論文別刷100千円である.誘電体基板はより高速変調に適した材料の探索に使用する.光学部品は光源の導光用で,測定システムの構築に使用する.電子部品は補助的な研究機器の自作に使用し,高速な変復調系の試作と更なる感度向上を目指したシステム構築に使用する. 国内旅費は220千円を予定している.使用用途は,研究成果の学会発表2件,研究会発表1件,技術調査1件である.また,海外旅費400千円を予定している.内容は研究成果発表1件である. その他は200千円を予定し,査読論文投稿1件および学会参加負担金である.
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Research Products
(6 results)