2011 Fiscal Year Research-status Report
日本海上に発生する黄砂や水蒸気等によるUHFテレビ放送ダクト伝搬の予報
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23560490
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
深見 哲男 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60115269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 亮一 石川工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (10435422)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 環境システム工学 / ダクト伝搬の予報 |
Research Abstract |
日本海域における電磁環境問題として,黄砂や水蒸気等の環境因子が起因と思われるダクト伝搬によるUHFテレビ電波の受信障害がある。この障害は,日本海側や韓国のUHFテレビ電波が日本海を越えて余り減衰せず数百km以上伝搬するために起こる。初年度の2012年7月15日にも石川県かほく市の地上デジタルテレビ波において,ダクト伝搬により京都府の局が受信したい金沢の局と混信している(北國新聞7月16日発表)。本研究の最終目的は,この原因となるUHFテレビ電波を伝搬するダクトの発生を予報することにある。 まず,2007年5月から継続している石川県津幡町における固定観測システムの既存スペクトラムアナライザが不調となったので,急きょ本年度移動観測用に購入したスペクトルアナライザを代用し,既存のスペクトラムアナライザを修理し,固定観測を継続させた。これは,7月24日に地上アナログテレビ波が終了したので,アナログテレビ電波は韓国の放送のみとなり韓国からのダクトによる電波受信調査のチャンでもある。なお,ダクトの規模等を調査する移動観測システムの構築と測定は,ダクトの発生が3月から9月程度であるため,困難となり次年度に向けて行うこととした。 そこで,これまでの固定観測データと気象データから大まかに検討したダクト形成に関する成果,「2007年5月から2011年11月まで13時から17時までの観測データと15時の気象から(1)ダクトが発生した日は,晴れた日が多い。(2)10月~2月まで,ほとんどダクトが発生しない。(3)4・5月と7・8月にダクト発生率のピークがある。」を電子情報通信学会総合大会で発表し,広く研究者から情報収集した。 一方,気象とダクトの関係を詳細に調査するため,インターネットに公開される気象データを自動的に取り込み,観測データと比較するシステムは,現在構築中であり,次年度の完成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施初年度である平成23年度に予定していた研究実施計画は、(1)UHFテレビ周波数帯の観測システムの新規構築と固定観測の継続,(2)新規構築した観測システムによる移動観測、(3)黄砂や気象データの収集とメカニズムの大まかな検討,(4)データ解析と相関解析プログラムの開発、であった。 (1)に関し,固定観測システムの修繕を行い固定観測を継続すると共に,新規に観測システムを構築した。さらに,観測と並行して,日本のデジタルテレビ放送と韓国のアナログテレビ放送を受信視聴し受信局確認ができるようにした。しかし,(2)に関し,構築した時期が観測時期を過ぎていたので,移動観測は行わなかった。 (3)に関し,気象データを収集した。黄砂に関しては,気象庁の気象データには現れないが,3月から5月期にわたり定常的に飛来していると思われるという結果を得た。そして,大まかなメカニズムを検討し,その成果を電気関係学会北陸支部連合大会と電子情報通信学会総合大会で発表し,広く情報収集した。 (4)に関し,気圧配置等の気象データをインターネットから自動的に収集するシステムを構築しており,現在,自動的に気圧配置の相関をとれるシステムを構築中である。 以上の点から,研究の達成度は,おおむね順調に進展していると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成23年度から平成26年度の4年間を予定しており,以下のように研究を推進していく予定である。 まず,固定観測の継続と移動観測の実施を平成26年度まで継続して行い,気象データ等と比較するデータを増やす。平成23年度において,研究費が分割されたことと,ダクト発生時期が9月までであったことから,移動観測を行わなかったため18万円程度の研究費を使用しなかった。今年度は,この研究費を移動観測するために必要である既存の観測用自動車に設置するための費用や予備観測の費用に使用し,昨年度のように石川県内にデジタルテレビ受信障害が発生した場合などにも直ぐに移動観測できるようにする。 一方で,観測データと気象データ等との相関解析を行い、平成25年度までを目標に,ダクト発生原因を以下のように調査検討していく予定である。(1)7-9月期:気圧配置と地表温度等の気象データとダクト層生成の相関を,高層気象観測データを関連させながら,調査検討する。(2)3-5月期:気圧配置と黄砂の流れを調査検討し,地表温度と黄砂によるダクト層生成の関係を相関調査する。(3)交差の液滴化と屈折率変化の関係を調査検討する。(4)得られた相関を発表し,広く伝搬路発生のメカニズムを調査・検討する。(5)予報に向けて気象配置の詳細因子や地表温度の相関から,係数を数値化する。 これらの結果を受けて平成25年度以降に関し,ダクトの予報に向けて,以下の準備をおこなう予定である。(1)観測データが,LANを通して閲覧できるようプログラム開発を行う。(2)観測データや伝搬路発生予報のホームページによる公開を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は以下のように研究費を使用する予定である。・固定観測の継続費用:固定観測データを蓄積するために必要な費用。固定観測は,5年間以上継続しているため,改修が必要な場合は第一優先に費用を使用する。・相関解析費用:観測データと気象データ等との相関解析を行うために必要なプログラム開発費用として必要な消耗品を購入する費用。・成果発表・情報収集費用:海外を含め広く情報収集等の調査研究や成果発表を行う。・移動観測に関する費用:(1)移動観測用のための既存の観測用自動車の改造費用や測定用バッテリの更新、(2)旅費.自動車燃料,高速自動車道使用等の移動観測を実施するために必要な費用。本年度の移動観測は,ダクトの広がり等を大まかに調査する目的で行い,観測日程など自由に行う予定であるため,総研究費の状況を見て,観測日数などを変更する。
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Research Products
(2 results)