2013 Fiscal Year Research-status Report
日本海上に発生する黄砂や水蒸気等によるUHFテレビ放送ダクト伝搬の予報
Project/Area Number |
23560490
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
深見 哲男 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60115269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 亮一 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10435422)
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Keywords | 環境システム工学 / UHF帯ダクト伝搬 / 日本海上 / ダクト伝搬の予報 |
Research Abstract |
日本海域における電磁環境問題として,黄砂や水蒸気等の環境因子が起因と思われるダクト伝搬によるUHFテレビ電波の受信障害がある。この障害は,日本海側や韓国のUHFテレビ電波が日本海を越えて余り減衰せず数百km以上伝搬するために起こる。本研究の最終目的は,この原因となるUHFテレビ電波を伝搬するダクトの発生を予報することにある。 まず,石川県津幡町の固定観測システムによる2007年5月から継続している定常観測を継続した。その5年間にわたる観測結果をまとめ,結果を映像情報メディア学会誌に投稿・採録された。これは,「地方時13時から17時までの観測データと15時の気象から①ダクトが発生した日は,晴れた日が多い。②10月~2月まで,ほとんどダクトが発生しない。③4・5月と7・8月にダクト発生率のピークがある。」という内容である。同時に,2013年アジア・太平洋電波科学会議[AP-RASC 2013]で成果を広く発表し,電磁界シンポジウムで情報収集した。 ところで,平成25年9月に固定観測用パソコンが壊れた。今後,このような事態にならないようデータ収集システムを改良した。また,平成24年12月で韓国の地上アナログテレビ波が終了した。翌年12月に韓国のデジタルTV放送受信対応チューナー(国内販売)を選定でき,次年度の測定に向けて購入した(10月~3月は受信不能)。 一方,移動観測に関して,同地点高度差観測を行った。しかし,フェージングが強く,アンテナ数を増やして次年度再実験する予定である。 最後に,予報のため,気象とダクトの関係を詳細に調査するため,インターネットに公開される気象データを自動的に取り込み,観測データと比較するシステムを構築中である。まず,天気図を取り込むシステムを作ったが,雲の発生をうまく予知できなかった。そこで,最終年度の完成を目指して更に準備を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23~25年度に予定していた研究実施計画は、「①移動観測システムの構築と固定観測システムによる観測の継続,②山陰地区から金沢の局の逆測定等の移動観測,③測定データの解析とダクト層発生原因の特定のための検討」であった。 ①に関し, 2007年から継続している固定観測システムによる定常観測を今後も継続すると共に,新規に観測用自動車に据え付けられた移動観測システムを構築した。さらに,観測と並行して,日本のデジタルテレビ放送と韓国のアナログテレビ放送を受信視聴し受信局確認ができるようにした。 ②に関し,平成24年度山陰地区において金沢の局を観測しようとしたが,周波数が金沢のTV局と同じ局が近畿・山陰地区にあり,観測の結果,受信されることが分かった。そこで,平成25年度以降,移動観測は,固定観測と同時観測を行い,多地点同時観測によるダクトの調査のみを目的にすることとした。 ③に関し,気象データを収集した。黄砂に関しては,気象庁の気象データには現れないが,3月から5月期にわたり定常的に飛来していると思われるという結果を得た。固定観測の結果を用いて,映像情報メディア学会誌や国際会議(AP-RASC)に発表するなど,成果発表と広く情報収集を継続している。更に,気圧配置等の気象データをインターネットから自動的に収集するシステムを構築しており,現在,自動的に気圧配置の相関をとれるシステムを構築した。現在,日本海上の雲の動き等をインターネットから得るためのシステムを現在検討中である。 以上の点から,研究の達成度は,おおむね順調に進展していると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成23年度から平成26年度の4年間を予定しており,最終年度の今年度は,これまでの問題点を修正するなど,以下のように研究を推進していく予定である。 まず,固定観測の継続と移動観測の実施を平成26年度まで継続して行い,気象データ等と比較するデータを増やす。平成23年度と平成24年度において,観測用自動車に設置した移動観測システムを構築し,デジタルテレビ受信障害が発生した場合などにも直ぐに移動観測ができるようにした。平成25年度に現在の韓国のデジタルテレビ放送を受信するためのコンバータを日本で購入することができたので,今年度調査を行う。観測成果に関して,国際会議等で発表し,広く情報を収集する予定である。 一方で,観測データと気象データ等との相関解析を行い、平成26年度までを目標に,ダクト発生原因を以下のように調査検討していく予定である。①気圧配置と海水温度等の気象データとダクト層生成の相関を,高層気象観測データを関連させながら,更に調査検討する。②予報に向けて気象配置の詳細因子や地表温度の相関から,係数を数値化する。 これらの結果を受けて,平成26年度に関し,ダクトの予報に向けて,以下の準備をおこなう予定である。①観測データが,LANを通して閲覧できるようプログラム開発を行う。②観測データや伝搬路発生予報のホームページによる公開を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移動観測を次年度に変更したため 平成26年度は以下のように研究費を使用する予定である。 ・固定観測の継続費用:固定観測データを蓄積するために必要な費用。固定観測は,5年間以上継続しているため,改修が必要な場合は第一優先に費用を使用する。・相関解析費用:観測データと気象データ等との相関解析を行うために必要な消耗品を購入する費用。・成果発表・情報収集費用:海外発表を含め広く情報収集等の調査研究や成果発表を行う。・移動観測に関する費用:旅費.自動車燃料,高速自動車道使用等の移動観測を実施するために必要な費用。本年度の移動観測は,ダクトの広がり等を調査する目的で行い,観測日程など自由に行う予定であるため,総研究費の状況を見て,観測日数などを変更する。
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Research Products
(2 results)