2011 Fiscal Year Research-status Report
非平衡大気圧プラズマを用いた懸濁態金属の原子発光メカニズムの解明
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23560513
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
伊藤 昌文 名城大学, 理工学部, 教授 (10232472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 貴之 名城大学, 理工学部, 准教授 (10379612)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 元素分析 / 発光分光法 / 吸収分光法 |
Research Abstract |
本研究では、非平衡大気圧プラズマ源を用いて,不溶性の金属微粒子を含む溶液(懸濁態試料)中の微量金属元素の発光メカニズムを解明することを目的とする.この技術によって,下水道排水のなどの試料の溶解などの前処理なしに簡易に精度よく管理する手法が確立できる.具体的には,どのような効率で金属微粒子が蒸発・原子化し発光するのか,またどのような条件でそれらの効率が促進されるかを系統的に調べ,それらのメカニズムを明らかにする.アルゴンガス流量を変化させて,金属原子の発光強度の振る舞いを調査した.金属試料である銅原子の発光強度はガス流量400sccmで最大値をとり,ガス流量に最適値があることが判明した.プラズマの電子密度をHβ発光ラインのシュタルク広がりから求めた結果,1015cm-3でありアルゴンガス流量の増加に伴い大きくなることがわかった.一方で, 窒素分子の発光スペクトルから回転温度を計測した結果,1000-1500Kでありアルゴンガス流量の増加に伴い,温度が減少することがわかった.これらの結果とアルゴンガスの発光強度の結果などより銅原子の生成レートを見積もったところ,電子密度と電子温度とがバランスする条件,すなわち銅原子の生成レートが最も効率が良いアルゴン流量(400sccm)が存在することが示唆された.また,アルゴンガスに微量な窒素ガスを添加した条件(数%)で、銅原子発光が増強された効果が明らかになった.窒素ガス添加量を5%まで増加させると,回転温度が1000から1800Kまで増加することがわかった.これらの結果から,雰囲気中の窒素のプラズマに対する割合が銅原子の発光メカニズムに大きく寄与することが示唆された.また,濃度の異なる標準溶液を用いて銅濃度の分析を行ったところ,濃度2から10sccmの間で相関係数0.99と高い計測精度が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属原子の発光強度,電子密度,回転温度の振る舞い(アルゴンガス流量依存性)を調査し,プラズマの基礎物理パラメータを明らかにしてきており,金属原子の発光および窒素ガス添加による発光増強メカニズムの解明に関して概ね計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
試料から生成されるラジカルや原子の密度と温度の2次元空間分布などをレーザ誘起蛍光法や真空紫外吸収法を用いて測定し,どのような効率で蒸発・原子化し,発光するのか,またどのような条件でそれらの効率が促進されるかを系統的に調べ,それらのメカニズムを明らかにする.また,組成が異なる標準試料を作成し,組成などが蒸発・原子化に与える影響について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レーザ誘起蛍光法や真空紫外吸収法に必要なミラーやレンズなどの光学部品、非平衡大気圧プラズマを生成するためのガス配管部品、原料ガス、光源電極などの消耗品費として使用する.また、成果を国内会議で発表するために旅費等として使用する.
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