2012 Fiscal Year Research-status Report
非平衡大気圧プラズマを用いた懸濁態金属の原子発光メカニズムの解明
Project/Area Number |
23560513
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
伊藤 昌文 名城大学, 理工学部, 教授 (10232472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 貴之 名城大学, 理工学部, 准教授 (10379612)
|
Keywords | 大気圧プラズマ / 元素分析 / 発光分光法 |
Research Abstract |
本研究では、非平衡大気圧プラズマ源を用いて,不溶性の金属微粒子を含む溶液(懸濁態試料)中の微量金属元素の発光メカニズムを解明することを目的とする.この技術によって,下水道排水のなどの試料の溶解などの前処理なしに簡易に精度よく管理する手法が確立できる.具体的には,どのような効率で金属微粒子が蒸発・原子化し発光するのか,またどのような条件でそれらの効率が促進されるかを系統的に調べ,それらのメカニズムを明らかにする. 発光メカニズムを解明するために,発光と電気特性の時間変化について着目した.本研究では,電圧9kVで周波数約60Hzのバイポーラ正弦波電圧を上下電極に印加し,プラズマを生成した.サンプルとして銅含有溶液を使用した.測定の結果,電極間の絶縁が破壊されプラズマ生成されると,電極間の電圧降下がおこり,電流は電源電圧と同期した振る舞いを行った.溶液中に含まれる銅原子の発光強度は,電流の増加とともに大きくなり,プラズマ中の電子密度が寄与することが示唆された.また,希ガスであるアルゴン原子,銅原子の発光は共に液体電極側に電流が流れている時(プラズマジェットの下流方向)に強い発光を観測した.この結果から,金属を原子化して発光させる際,多くの発光に関してイオンが寄与していることが示唆された. レーザ誘起蛍光法の測定システムを構築し,サンプルとしてクローム含有溶液中のクローム原子の数密度の空間分布を測定した.その結果,2ミリのプラズマ生成空間から3ミリ離れたところでは,プラズマ空間の密度に比べて約35パーセント程度に減少することが明らかになった.これは,上述のようにイオンが原子化に寄与していることから,プラズマ空間から外れたために急激に溶液の原子化効率が減少したためであると考えられる
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属原子の発光強度と電気特性の関係を調査し,発光に寄与する粒子がイオンの可能性が高いことを明らかにしてきた.また,レーザ誘起蛍光法を用いて金属元素密度の空間分布を測定し,蒸発・原子化の位置を調査しており,発光メカニズムの解明に関して,概ね計画通りに進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
試料から生成される金属原子の密度を,レーザ誘起蛍光法を用いて測定し,その空間分布のガス流量依存性や窒素ガス添加濃度依存性について詳細に明らかにする.それらの結果と電気特性,発光特性から懸濁態試料および固体試料の蒸発・原子化・発光および増強メカニズムの解明を行い,総括とする.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レーザ誘起蛍光法や真空紫外吸収法に必要なミラーやレンズなどの光学部品、非平衡大気圧プラズマを生成するためのガス配管部品、原料ガス、光源電極などの消耗品費として使用する.また、成果を国内会議で発表するために旅費等として使用する.
|