2011 Fiscal Year Research-status Report
地域住民の意向に配慮した橋梁景観の定量的評価法に関する基礎的研究
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23560583
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
勇 秀憲 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 教授 (60159655)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 構造工学 / 橋梁景観 |
Research Abstract |
地域における良好な景観形成のためには,その地域特性や地域住民の意向に合致した総合的な景観評価法の確立が急務である。特に橋梁景観においては,橋を含む景観の形状と色彩がその景観イメージ・感性に大きな影響を及ぼす。本研究は,橋梁景観の形状特性と色彩特性を相互に考慮し,橋梁新設・改修時や再塗装時などでの色彩評価・選定のための合理的で定量的な工学指標を含む景観評価法・設計法の確立を目標とするものである。 本研究では,橋梁景観の色彩特性を「色彩評価法」と「カラーイメージ評価法」により,また橋梁景観の形状特性を「フラクタル解析」によりそれぞれ評価し,それらを総合的にまとめる4ステップからなる。平成23年度は,「色彩評価法」の提案を目指し,景観構成要素の色彩特性と形状特性を評価した。既存の橋梁データベースから,架設場所・構造形式・竣工年・視点場等を考慮しながら,橋梁画像データの収集・追加・整理を行い,それら橋梁景観の構成要素を画像処理により画像データを抽出した。そして,その画像データの各構成要素の色相・彩度・明度などのカラーデータ値を定量的に測定した。さらに,研究者による既往の色彩評価法に関する基本的な考え方に基づき,カラーデータ値を多変量解析とラフ集合により処理し,各構成要素の色彩特性とその相関関係を定量的に評価し,「色彩評価法」の適用性・妥当性を検討した。 また,橋梁景観の形状特性をフラクタル次元により定量化し,ラフ集合を用いて,フラクタル次元と橋梁イメージ・色彩・架設場所・構造形式等の間の相互関係を調べ,景観構成要素の色彩特性と形状特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,特に典型的な橋梁景観を対象としたSDイメージアンケート結果を多変量解析やラフ集合などの感性解析により,景観要素(色彩・構造形式・架設場所など)やイメージなどの相互関連性を明らかにすることができた。その結果,橋梁における景観評価においては,多変量解析(特に数量化II類)とラフ集合を用いた評価法を比較した。その結果,景観評価の推定に関してはラフ集合による評価が適しており,推定の精度に関してはやや数量化II類が適していることが分かった。 また,特に橋梁の形状特性に着目するために,フラクタル次元を測定し定量化した。そして,フラクタル次元と色彩・架設場所・構造形式・視距離などの景観要因や,SDアンケートに基づく橋梁イメージとの関係性を,ラフ集合を用いて以下のことを明らかにすることができた。(1)フラクタル次元を用いて景観の複雑さを定量化した結果,橋梁そのものよりも背景要素が景観のフラクタル次元に影響することが分かった。(2)ラフ集合を用いて架設場所などの景観要素とイメージとの関係性を明確化することができた。(3)ラフ集合による解析結果からは,イメージとフラクタル次元との特徴的な関係は見出せなかった。 平成23年度においては,当初の研究計画では橋梁景観の色彩特性を中心とした色彩評価法の提案を目指し,いくつかの典型的な橋梁景観に対する色彩評価法の適用性・妥当性については確認できた。そして,橋梁景観の形状特性であるフラクタル次元解析と組み合わせた感性解析(多変量解析とラフ集合)も用いて,色彩評価との連携を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究で提案した色彩評価法を,さらに他の橋梁データの各種橋梁(色彩・構造形式・架設場所等の異なる様々な橋梁)へ幅広く適用し,本色彩評価法の妥当性を調べる必要がある。同時に,橋梁景観の形状特性であるフラクタル次元をも考慮できる総合的な景観評価法に向け,多変量解析(数量化理論,因子分析,クラスター分析等)やラフ集合を用いて,多種多様な橋梁景観への本景観評価法の適用性を調べ比較検討し,その妥当性を検討することが必要である。 平成24年度以降は,まずは色彩調和判定を考慮した景観構成要素間の色彩評価を検討する。橋梁要素及び背景要素の基調となるイメージカラーを,画像処理ソフトウェア,JIS標準色票や色彩色差計の実測結果と関連付けて評価し定量化する。そして,カラーイメージ解析ソフトウェアにより,橋梁要素の基調色に関する単色イメージスケールを適用し,地域住民や学生に対するSD調査によりそのイメージスケールの検証を行う。そして,さらに橋梁要素と背景要素の間の色彩調和判定を考慮した上で,配色イメージスケールを適用した橋梁景観評価を,各種橋梁に対し試みる。並行して,橋梁景観の形状特性を画像データのフラクタル次元解析により評価し,感性カラーイメージとの相関関係を求める「カラーイメージ評価法」を提案する。 これらにより,「色彩評価法」,「カラーイメージ評価法」および「フラクタル解析」をまとめ,橋梁景観の形状特性を考慮でき,色彩調和判定法と配色イメージスケールに基づいた景観設計の色彩選定の新しい指標の妥当性・適用性に関する検討・議論を進めてゆく。こうして,景観設計における色彩選定プロセスの新しい選定指標が提案でき,色彩特性と形状特性を総合的に配慮できる新しい定量的な色彩設計システムの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,「カラーイメージ評価法」の提案を目指し,特に橋梁要素と背景要素の色彩特性の正確な定量的評価が必要になる。そのためには,橋梁要素及び背景要素の基調となるイメージカラーを,画像処理ソフトウェア,JIS標準色票や色彩色差計の実測結果と関連付けて評価し定量化しなければならない。このうち色彩色差計は,平成24年度に購入予定である。この色彩色差計は,対象とする橋梁画像データの色彩特性(XYZ値,L*a*b*値,マンセル値等)を手動で直接計測できる。また,色彩色差計をPCに接続し,遠隔操作・制御するための色彩管理ソフトウェアを用いた自動計測も行うことができる。さらに色彩管理ソフトウェアを使うことにより,計測データのリスト表示,グラフ表示やexcelデータへの変換など,計測データの今後の多様な活用を簡単に進めることができるようになる。平成23年度経費の一部をこの色彩管理ソフトウェアの購入にあてる。 こうして,橋梁景観の橋梁要素や背景要素を対象として,画像処理ソフトウェアによる色彩数値データ,JIS標準色票による目視実測および色彩色差計による色彩計測などを比較・検討することができ,より厳密な景観要素の色彩の定量的評価が可能となる。その結果,橋梁要素と背景要素の間の色彩調和判定を考慮した配色イメージスケールを使った橋梁景観評価を各種橋梁に対し適用することができる。同時に,橋梁景観の形状特性を表すフラクタル次元を解析評価し,感性カラーイメージとの相関関係を求める「カラーイメージ評価法」を提案する計画である。
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Research Products
(3 results)