2013 Fiscal Year Annual Research Report
農地の営農と湛水事業による地下水の硝酸性窒素汚染に関する研究
Project/Area Number |
23560651
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
市川 勉 東海大学, 熊本教養教育センター, 教授 (00119645)
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Keywords | 湛水事業 / 地下水涵養 / 硝酸性窒素汚染 / 土壌養分分析 / 転作率 |
Research Abstract |
地下水区の下流に位置する江津湖の湧水に含まれる硝酸性窒素の濃度は上昇傾向にあったが、2012年以降は横ばい状態にあることがわかった。上流部の涵養域である白川中流域の湛水事業による地下水涵養量は、湛水事業が開始されて10年経過した2013年まで毎年の涵養量評価を実施した。その結果、水田による涵養量は年々低下傾向であり、湛水事業による涵養量はおおむね2,000万立法メートルで、限界に達していることがわかった。水田は減少し、転作率は60%を超えている。2010年以降飼料作物として水稲が栽培されているために全涵養量は7,000万立方メートル程度で横ばいになっている。そのため、一旦、上昇した江津湖の湧水量も横ばい傾向にある。これらの成果は、熊本日日新聞、朝日新聞などの報道機関を通じて公表した。 また、湛水前の作物別に湛水事業を実施した圃場に残留している窒素量を求めるために深度1mまでの不攪乱試料を採取し簡易土壌養分分析法によって分析して求め、湛水による地下水涵養量で除して、浸透水の窒素濃度を推定したところ、湛水事業による地下水の硝酸性窒素汚染の可能性は低いことがわかった。しかし、湛水前の作物が飼料用作物であった場合は、浸透水中の硝酸性窒素濃度が比較的高いことがわかった。これらの成果は、東海大学基盤工学部・産業工学部紀要第1号(2014年3月発行)、および、2013年12月にWEST SYDNEY UNIVERSITYで開催された"The 9th International Symposium on Social Management Systems SSMS2013, 2-4 December 2013, Sydney, Australia”で発表した。 以上の結果から、本課題研究による研究目的はほぼ達成されたと考える。
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