2012 Fiscal Year Research-status Report
竜巻状の回転流中における飛散物の運動に関する数値解析
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23560671
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 教授 (00190570)
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Keywords | 竜巻 / 回転流 / 飛散物 / 数値解析 |
Research Abstract |
竜巻により飛散する可能性のある物体に関して、大きさや形状、放出条件等が飛散性状に及ぼす影響を検討し、計算に必要となる空力パラメータ等、各種計算条件を明らかにした。まず、飛散物の空力特性に関して、日本においては、屋根ふき材の飛散による被害が代表的であると考えられるので、住宅からの飛散物の代表例として和瓦を取り上げ、風洞実験等によりその空力特性(風速、風向角による抗力係数などの変化)を定量的に明らかにした。その決結果を用いて、球や正方形平板などの単純な形状をもつ飛散物と、瓦のように単純な形状を持たない飛散物とで、飛散性状にどのような違いがあるかを、一様流および勾配乱流中で飛散計算を行って明らかにした。それによると、瓦は正方形平板に比べその空力特性に非対称性が目立つ。また,その非対称性および風向角に対する空力特性の細かな変化は,飛散物の飛翔性状に対して気流の乱れが大きくなることと同様な影響を与え,飛翔距離の最小最大の差を大きくすることがわかった。つぎに、竜巻中の飛散物の飛散性状に関して、竜巻の気流性状、すなわち、最大風速半径や移動速度による違い、さらには、飛散物の空力パラメータや飛散開始条件の違いがどのような影響を与えるかについて、実際の竜巻の強さや被害程度と比較しながら整理した。また、2012年5月6日に北関東地方一帯でほぼ同時に発生した3つの竜巻のうち、つくば市北条地区で大きな被害をもたらした竜巻について被害調査結果から気流性状を推定し、飛散物のシミュレーションを行って、被害発生当時の飛散物の速度を調べ、建物被害との比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したスケジュールでは、1.平成23年度に種々の性質を持った竜巻状の回転流を発生させ、既存の観測例、実験結果、数値計算結果などと比較し、実際の竜巻中の気流性状を検討する。2.竜巻により飛散する可能性のある物体に関して大きさや形状、放出条件等を調べ、計算に必要となる空力パラメータ等の各種計算条件を明らかにする。特に、日本においては、屋根ふき材の飛散による被害が代表的であると考えられるので、和瓦に関しては、風洞実験等によりその空力特性(風速、風向角による抗力係数などの変化)を定量的に明らかにしておく。となっていたが、平成23年度、平成24年度の研究実績の概要に示したとおり、交付申請時のペースで研究が進められており、また、当初予定の研究成果が上がっている。さらに、平成24年5月6日に北関東地方一帯に大きな被害をもたらした竜巻について、本研究の成果を用いて飛散物のシミュレーションを行い、実際の被害との対応を検討する資料も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終(平成25)年度では、これまでに作成した種々の性質をもった回転流中に、飛散物を種々の条件で放出し、竜巻の大きさや強さ、渦内の気流性状などに対する飛散物の飛散範囲、飛散速度などの運動性状に対する感度解析を行う。これにより、竜巻内の飛散物の運動を定量的に評価することができ、建物に被害を及ぼすような飛散物の性状を明らかにする。さらに、得られた結果をもとに、竜巻による飛散物の建物や人への衝撃力などの危険度を評価して、建物の飛散物による被害の防止、軽減するための資料、建物の耐風性能向上のため方策を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの成果を踏まえ、パラメータスタディーを行うために、数多くのケースについての計算を行って、種々の気流性状に対する飛散物の飛散性状を検討する。そのために、外注を含めた計算機の使用料を予定している。また、計算結果を保存するための記憶媒体、計算結果を解析するための各種ソフトウエアーの購入、計算結果および各種資料整理のための人件費を予定している。さらに、情報収集・研究成果の発表を行うために国内外における会議等に出席するための旅費の使用を予定している。
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