2011 Fiscal Year Research-status Report
円筒タンクにおける流体と容器の大変形連成場の数値解析と基本応答の研究
Project/Area Number |
23560677
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
皆川 洋一 鹿児島大学, 理工学研究科, 特任教授 (30128459)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | タンクの非線形振動応答 / 流体と容器の連成問題 / 分数調波振動応答 |
Research Abstract |
二次元のポテンシャル流体と容器の大変形動的連成問題を定式化し、数値解析のプログラムを整備した。正弦波水平外力の振動数と振幅をパラメータとして、数値解析し、主に容器の応答のフーリエ・スペクトルを分析して、次のような非線形振動応答が出現する領域が存在することを明らかにした。流体と容器の振動応答が解析できる定式化であることは実証できた。一方、応答を対称振動、および逆対称振動モードに分解することによって、非線形振動応答の発生のメカニズムをも分析することが出来そうだと考えている。(1) 弾性容器の固有振動数と水の振動(スロッシング振動)の固有振動数とが大きく異なる領域では、水は若干の質量効果を容器に及ぼすのみであるが、両者の固有振動数が重複する領域があると、振動モードにおけるいわゆるバルジング振動は明確でなくなる。すなわち、容器と流体の連成振動が複雑になる。(2)ある外力振動数、および振幅の下で、容器に分数調波振動が生起して、応答が急激に増大する不安定領域が存在する。(3) 容器の左右二等分線に関して、対称と逆対称変形の振動モードに分解して応答を分析した。対称モードと逆対称モードが共に外力振動数の1/2倍になる1/2分数調波振動応答が出現する領域がある。一方、対称変形モードと逆対称変形モードが異なる振動数を持ち、それらの振動数の和が外力振動数となる不安定領域も存在する。後者において、応答はビート振動となる。(4) これらの分数調波振動の下で、容器の変位、および応力の振動応答を示し、分数調波振動応答や高調波振動応答が含まれていることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元の流体と容器の動的連成の解析プログラムは完成し、成果は上がっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
二次元の研究成果は報告書作成に移行する。 流体を有する円筒シェルの動的相互作用の数値解析を実施する。問題はふたつある。ひとつは、計算時間が膨大にかかることである。他方は応答のデータ量が大きくなり32ビットのOSでは処理が難しいことである。 高速処理のPCと最新のフォートランコンパイラーを利用すれば、数値解析の処理速度が速くなると見積もっていた。しかしながら、予想していた処理速度が出ないことが分かった。このため、備品の購入を控え、23年度に出来る二次元の問題を十分検討した。24年度に処理速度が改善され、少ない時間でよい成果を得られるような研究を行なってきた。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実用的な円筒タンクを採用すると、膨大な計算時間が必要であることが分かった。計算時間の短縮のために、早いパソコン、コンパイラーがリリースされるなら購入する。それが出来ないときは並列化等演算を早くする方策、効果のあるフォートランコンパイラー購入を行ないたい。 また、計算が出来てからの課題であるが、応答計算では32ビットのパソコンのソフトでは処理できないデータ量になる。64ビットのデータが扱えるソフトの購入も考えている。 円筒シェルをモデルに非線形振動の応答を研究することに変更は無い。
|