2011 Fiscal Year Research-status Report
都市マネジメント主体の変化と実態:フランスの住民参加手続・公定化手続に着目して
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23560738
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
内海 麻利 駒澤大学, 法学部, 准教授 (60365533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡井 有佳 東京工芸大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50468914)
小林 重敬 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (90017997)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フランス / 住民参加 / 公定化 / 都市マネジメント |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者及び分担者の条例及びエリアマネジメント研究を基礎として、「住民参加」「公定化」という視点から日本における課題を再確認し、その課題に対して、フランスから示唆を得ることを目的とする。研究の方法は、日本において多様な主体によるマネジメントが実施されている各類型の地域((a)大都市都心部の再開発、(b)文化遺産の保全と中心市街地の再生、(c)住宅団地地区の更新)における日本の課題の再確認(日本の確認調査)と、その課題を視点としたフランスにおける制度と実態の調査・検討(フランスの実態調査)である。平成23年度は、日本の確認調査では、関連法令及び条例の再整理・分析を行い、(a)千代田区再開発事業関係者、(b)元観光庁長官、京都市役所及び京都市観光協会、(c)千里ニュータウン事業主体等に対する聞き取り調査を行い、日本の課題を抽出、議論するための材料を入手した。フランスの実態調査においては、日本の課題と対置して検討するに必要な情報を現地で入手し、整理した。この調査によって得られた知見は、研究実績欄に記載した論文として発表した。その内容は、以下の通りである。(a)パリ・レアールの再々開発を対象に、法令による住民参加手続をフランスの既往研究等から検討し、2000年以降の法改正等により、参加手続の充実が図られている実態を明らかにした。(b)国の観光関連部局に聞き取り調査を行うとともに、都市マネジメントに関するアンケート回収と分析を行い、対象地域を選定し、その一部地域で調査を実施(ストラスブール)したことで、観光政策の主体の公定化と都市マネジメントの実態を明らかにした。(c) 住宅団地の更新における予算管理を行う全国市街地改良機構等への聞き取り調査により、地域管理の可能性を示唆するとともに、地区のマネジメント主体の実態を調査するための情報を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究目的を達成するために次のような研究プロセスを設定している。[第1段階]各地域類型の性格と本研究の視点に応じた法文・資料等の収集、整理、分析並びに調査対象地域・団体選定のための事前調査、[第2段階]第1段階の事前調査により選定した地域、団体等への訪問による聞き取り調査及び調査結果の検討と考察、[第3段階]第2段階の調査の検討・考察によって明らかになった疑問点と成果を整理及び疑問点の再確認並びに研究の総括、という段階である。 このうち、第1段階の資料等の収集や整理及び事前の聞き取り調査と第2段階の視察・対象団体への聞き取り調査も一部終えており、研究の進捗状況は計画の40%~50%に達しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、日本の確認調査の結果から、日本の都市マネジメントの主体をめぐる課題として、「住民参加」「公定化」という観点から整理を行う。そして、平成23年度に選定した調査対象地で調査が終わっていない地域を訪問し、聞き取り調査を実施する。その実施にあたっては、日本の確認調査で得られた課題に基づき調整を図りながら行う。そして、平成25年度は、それまでの調査によって得られた情報や知見を整理し、調査の不足部分や確認すべき部分を明らかにした上で、追加調査を行う。そして、総括として「日本の都市マネジメントの主体をめぐる課題」へ当てはめるための、議論、検討を行い、一定の結論を導く。 ただし、日本の確認調査の結果をまとめる上で、また、フランスの実態調査を進める上で、調査の視点を明確にするために、「住民参加」「公定化」の意義を、調査結果等を踏まえて理論化する必要性が明らかになってきた。そこで、平成24~25年度に、「住民参加」「公定化」に関する法制度に造詣の深い助言者を招き、研究会を開催する。そして、この研究会によって得られた知見を踏まえて、日本の都市マネジメントの主体をめぐる課題を明らかにし、その課題を視点としてフランスでの訪問、聞き取り調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1に、研究会を年間約6回開催する。研究会による支出として助言者3名、協力者1名の謝礼を予定している。第2に、研究会での議論を踏まえ、日本の確認調査のための追加調査として概ね3カ所の調査旅費のための国内旅費の支出を予定している。第3に、フランスの実態調査(2名合計2~3回)と調査結果のとりまとめの支出として、外国旅費及び協力者等への謝礼の支出を予定している。第4に、上記の調査、作業等に伴う関連図書の購入代、文具代、郵送料などの支出を予定している。
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Research Products
(12 results)