2012 Fiscal Year Research-status Report
都市マネジメント主体の変化と実態:フランスの住民参加手続・公定化手続に着目して
Project/Area Number |
23560738
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
内海 麻利 駒澤大学, 法学部, 教授 (60365533)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡井 有佳 立命館大学, 理工学部, 准教授 (50468914)
小林 重敬 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (90017997)
|
Keywords | フランス / 住民参加 / 公定化 / 都市マネジメント |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者及び分担者の条例及びエリアマネジメント研究を基礎として、「住民参加」「公定化」という視点から日本における課題を再確認し、その課題に対して、フランスから示唆を得ることを目的としている。また、その方法は、日本において多様な主体によるマネジメントが実施されている考えられる地域の活動類型((a)大都市都心部の再開発、(b)文化遺産の保全と中心市街地の再生、(c)住宅団地地区の更新)に応じて日本の都市マネジメントの課題の再確認(日本の確認調査)をしつつ、各類型における課題に対応したフランスの制度と実態に関して上記の視点から調査及び検討をする(フランスの実態調査)というものである。 平成24年度は、平成23年度に収集した情報・材料及び成果(雑誌に連載した内容等)の検証を行うとともに、内容の充実を図るための調査を行いさらに研究を発展させ発表等した。 まず、日本の確認調査については、調査、研究会、シンポジウムなどにより、日本の都市マネジメントを実施する上で多様な担い手の存在を認識することが重要であり、その際、公共のあり方とそれを支える制度(ルール)に課題があることを確認した。 また、フランスの実態調査については、(a)は、パリ・レアル地区(1区)の再開発を調査(法律・書類の確認・解釈及びパリ市、その他事業主体、近隣住民、助役などへの聞取り調査)、検討することで、フランスの再開発における参加制度の実態を明らかにした。また、(b)は、文化遺産のある都市のマネジメントを支える制度の実態を明らかにし、「フランスの観光政策における分権的動向と担い手の公定化に関する研究-主体の役割と都市マネジメントに着目して」(研究成果欄参照)等の論文を発表した。(c)については、昨年度の調査及び発表論文を基礎としつつ、住宅団地において非営利団体等が更新や管理等にかかわるルールを調査(アンジェ市)した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究目的を達成するために次のような研究プロセスを設定している。[第1段階]各地域類型の性格と本研究の視点に応じた法文・資料等の収集、整理、分析並びに調査対象地域・団体選定のための事前調査、[第2段階]第1段階の事前調査により選定した地域、団体等への訪問による聞き取り調査及び調査結果の検討と考察、[第3段階]第2段階の調査の検討・考察によって明らかになった疑問点と成果を整理及び疑問点の再確認並びに研究の総括、という段階である。 このうち、第1段階の資料等の収集や整理及び事前の聞き取り調査と第2段階の視察・対象団体への聞き取り調査及び調査結果の検討と考察を終え、成果を論文としてまとめ、発表しており、第3段階の調査も一部終えていることから、研究の進捗状況は計画の70%~80%に達しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまでの調査によって得られた情報や知見を整理し、調査の不足部分や確認すべき部分を明らかにした上で、追加調査を行う。そして、総括として「日本の都市マネジメントの主体をめぐる課題」へ当てはめるための議論、検討を行い、これまでの知見を結論へと導く。 また、日本の確認調査の結果をまとめ、フランスの実態調査を進める上で、調査の視点を明確にするために、「住民参加」「公定化」の意義を、調査結果等を踏まえて理論化する必要性が明らかになり、平成24・25年度に、「住民参加」「公定化」に関する法制度に造詣の深い助言者を招き、研究会(地域ルール研究会)を開催している。とりわけ、平成25年度は、これまでに得られた知見や成果を当該研究会で報告し、その議論を踏まえて、追加調査を実施し、結論を充実させたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1に、研究会を年間約4~5回開催する。研究会による支出として1回の助言者3名、協力者2名の謝礼を予定している。第2に、研究会での議論を踏まえ、日本の確認調査のための追加調査として概ね1~2カ所の調査旅費のための国内旅費の支出を予定している。第3に、フランスの実態調査(2名計約2回予定)と調査結果のとりまとめの支出として、外国旅費及び協力者等への謝礼の支出を予定している。第4に、上記の調査、作業等に伴う関連図書の購入代、文具代、郵送料などの支出を予定している。
|
Research Products
(7 results)