2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560741
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
真鍋 恒博 東京理科大学, 工学部, 教授 (10084378)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 建築構法 / 断熱材料 / 断熱構法 / 変遷史 / データベース |
Research Abstract |
本年度は、内装下地材を層構成要素毎に分類した。木製下地の材料・構法の変遷の調査には、公的団体が策定している住宅に係る代表的な仕様書として昭和26年から発行が始まった「公庫木造住宅工事共通仕様書」「鉄筋コンクリート造住宅工事共通仕様書」(監修:住宅金融公庫)を用い、各仕様書を研究対象項目毎に調査した。また、ヒアリングにより、仕様書の詳しい内容や変遷の理由を調査した。以上の調査結果を各種観点から分析し、変遷の概要をまとめた。ここでは、木造躯体工事・軸組(間柱・通しぬき・木ずり・ラス下地板)についての結果を示す。 間柱の仕口は昭和26~57年度まで「 上下とも短ほぞ差し」であったが、昭和58年度になると「上部ほぞ差し、下部欠き込み」に変更された。更に昭和60年には、上部は同じであるが、下部が「突付け」に変わった。このように、間柱は時代が経つにつれ仕口が簡略化され、構造補強の位置付けから、仕上げ材の受け材としての役割が主体になってきている。 昭和61年にモルタル塗下地の木ずり(ラス下地板)と、木ずり下地漆喰塗の木ずりの各項目が「木ずり」の一種類に統一された。昭 和35、37、平成3年に、部材寸法の大きな変更があった。 同様に面材耐力壁・造作材・床組・天井面についての調査を行った。 これらの結果により、各住宅工事共通仕様書の改訂の変遷の概要を把握した。現在、一般に使用されていない不明な用語について、また、各仕様書の改訂の理由や、木造とRC造それぞれの木製下地の変遷の比較に関する考察は、今後のヒアリングの際に詳細に聞き取りを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に推移しているといえる。本年度の研究により、内装下地材料・構法に関する社史・業界史、社内資料、各種雑誌、構法に関する書籍等の調査、関連企業や団体への調査を行い、現状用いられている内装下地材料を把握した。これらの材料で作られている内装下地材料・構法を対象に、開発経緯、現在の用途、出荷状況等などについて詳細をまとめている。 また、本年度は、内装下地材を層構成要素毎に分類した。木製下地の材料・構法の変遷の調査には、公的団体が策定している住宅に係る代表的な仕様書として昭和26年から発行が始まった「公庫木造住宅工事共通仕様書」「鉄筋コンクリート造住宅工事共通仕様書」(監修:住宅金融公庫)を用い、各仕様書を研究対象項目毎に調査した。また、ヒアリングにより、仕様書の詳しい内容や変遷の理由を調査した。以上の調査結果を各種観点から分析し、変遷の概要をまとめた。これにより、各住宅工事共通仕様書の改訂の変遷の概要を把握した。現在、一般に使用されていない不明な用語(又は建築大辞典に掲載されていない用語)について、また、各仕様書の改訂の理由や、木造とRC造それぞれの木製下地の変遷の比較に関する考察は、今後のヒアリングの際に詳細に聞き取りを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、次年度は本年と同様に、内装下地材についての各部位毎の材料・構法の概要把握と分類、内外装製品の現状の概要調査を行う。最終年度には23年度、24年度の成果をもとに以下の分析を加えて成果とする。データ処理方法には、次の3つの観点を用いる。まず、その部品・材料にこれまでにどのような種類の製品があったか(製品種)、そして個々の製品の持つ材質・形状などの観点(構法の属性)が時代を経るごとに(時間)どのように変化してきたか、ということである。この変遷の全体像の概念は図3の様に3次元マトリクスで表現できる。作成したデータベースを各種の分析観点から分析し、製品の変化や各時代に求められた機能を把握し、社会背景等との比較考察を行う。分析作業において、データベースで行う操作は、具体的には以下の通りである。(1)時間軸以外の製品種と構法の属性に注目すれば、どのような製品が存在したかをその属性(材料・形状等)別に示す製品一覧表になる。また、(2)製品の持つ属性の軸を無視すれば、時間軸上の部品の種類ごとの消長を現わす系統図として表わすことができる。(3)製品種の軸を無視すれば、属性毎の変遷があらわされ、分野ごとの技術の発展を追うことができる。この他、既往研究を含めてこれまで明らかにされた内外装材料・構法の変遷との比較考察も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は、23年度と同様に資料のデジタル化の費用と資料整理補助の人件費を計画している。その他に大型の機器や資材等については、本研究においては必要としていない。また、ヒアリングや現地視察を2回程度計画している。
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