2012 Fiscal Year Research-status Report
限界集落の再生に関する実践研究-勝山市小原集落の景観整備とイベント活動を通して
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23560778
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多米 淑人 福井工業大学, 工学部, 講師 (60511920)
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Keywords | 小原ECOプロジェクト / 集落景観 / 古民家修復 / イベント活動 / 限界集落 / 再生・活性化 / 篝火祭 / 草刈り |
Research Abstract |
平成25年度のイベント活動として旧盆の8月13日に「篝火祭」を実施。前もって旧小原地区民に呼びかけたところ60余名の参加があった。参加者は久しぶりの再会を喜ぶとともに、6年間に及ぶ我々の民家修復・集落再生活動の実態をみることもできた。当日は旧学校跡地に方三間の舞台を設置して金沢および地元福井から招聘した人々による能舞および地元民による伝統芸能(踊りや民謡)を上演。舞台の周囲と集落内の要所に合計14基の篝火を置き、主要村道と集落の各家をつなぐ坂道には100個の手作り灯篭を並べて集落を照らし出し、集落全体のライトアップも行った。ただし、イベント開始後、間もなくして突然の暴風雨に襲われ、篝火・灯篭によるライトアップは中断、能の上演も近くの道場に移して行わざるを得なかった。それでも参加者は誰ひとり帰ることもなく、ずぶぬれになりながらも1時間30分に及ぶ能の演舞に満喫していた。このようにメインのイベントは残念な結果に終わったが、昼過ぎから始めた旧村民の集いは予想以上の成果を上げることができた。 一方、集落整備の一環として行った古民家再生作業は、8月6日から月末まで約20日間25名の学生や棟梁、地元民とともに実施した。内容は昨年度外壁の土壁を補修した道場家住宅の瓦葺替えと1,2階内部の整備である。2年間の作業を通して、道場家住宅を岩本家や北山家とともに小原ECOプロジェクトの新たな拠点とすることができた。また、期間中時間を見つけて集落内の草刈り、坂道の整備も行った。 このほか、小原ECOプロジェクトの恒例行事である開山式(6月10日)ではテント張などの事前準備や山菜、川魚の即売に協力。さらに県市の補助を得て集落内につくられた休憩所兼トイレの竣工式(11月2日)にも参列。ちなみに施設の名称「小原星の駅」は学生の発案であり、入り口に掲げられた大きな欅板の看板も学生が作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施した「篝火祭」は、初めて旧村民を対象にして行った。あいにく途中から暴風雨にたたられたが、予想を超す60名余の参加があった。彼らは久しぶりに会う人がほとんどで、当方で用意したお弁当や焼き魚、味噌汁などに舌鼓を打ちながら楽しそうに再会を喜んでいた。中には子や孫を連れての参加者もあった。きれいに整備された旧我が家や集落景観を懐かしんでいる姿もあった。また、能舞をみるのははじめての人が多かったが、演者からの舞の内容や楽器についても説明もあり、興味深く鑑賞していた。突然の暴風雨で、篝火や灯篭によるライトアップの演出が中断せざるを得なかったことが悔やまれるが、これを除けば当初の予想を上回る成果をあげることができたイベントになった。 また、小原集落や周辺を会場にした各種イベントも徐々に定着しつつあり、ここ数年は海外の若者たちの山村生活体験ツアーも恒例になりつつある。ちなみに平成24年度に小原へ足を踏み入れた人は延べ1200人を超えている。このように、小原集落の再生、活性化は徐々に成果を上げ、おおむね順調に進展している。 しかし、地元勝山市や隣接する大野市、あるいは福井市など近隣の子供や小中学生たちが積極的に活用する状態には至っていない。今後はこうした近隣地域の小中学生などを対象にしたイベント、活動も展開していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施した「篝火祭」は次年度以降も継続し、小原における夏のイベント行事として定着を図っていきたい。仮設舞台用の角材や床板は、解体して保管してあり、今後も数年は再利用できる状態にある。また、篝火台も何年かはこのまま再利用可能であり、手作り灯篭の作成ノウハウも伝えていける状態である。学生たち以外にこれらへの参加者を呼びかけていくことができれば、今後の継続も可能と考える。 一方、古民家修復、集落景観の整備事業も継続していきたい。すでに修復予定の古民家が数軒あり、これまでに修復した古民家の中にも再整備を要する物件もある。さらに集落内の草刈りや坂道、石階段、あるいは水路などの整備は毎年、実施する必要がある。こうした集落景観を整備したり保持していく作業に対して、いかに賛同者、参加者を呼び込むか、そうした方策を探りながら、今後も活動を続けていきたい。 また、子供や若者をいかに呼び込み、小原に興味、関心を持ってもらえるか、将来における小原集落の再生、活性化の成功、失敗に大きくかかわってくる。平成25年度はこうした課題を解決する方策を考えながらより積極的なイベント活動を展開していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度と同じように、平成25年度の研究費の使途も「篝火祭」をはじめとするイベント活動や集落景観整備作業あるいは古民家修復作業などにかかわる学生たちの活動費や食費、謝金が主となる。特に篝火祭用の仮設舞台の角材や板材、篝火台などは、その多くが平成24年度に整えることができた。平成25年度も若干の補充は必要であるが、前年度は不足ぎみであった学生活動費や謝金を平成25年度はもう少し充実できると考えている。
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Research Products
(7 results)