2013 Fiscal Year Annual Research Report
物質本来の強い超伝導を発現させる新奇プロセスの構築
Project/Area Number |
23560801
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
向田 昌志 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50302302)
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Keywords | 低温熱処理 / 1次元ピンニングセンター / 成長機構 / 1次元ピンの曲がり / 微傾斜角度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本が提案する二酸化炭素などの温室効果ガスを、「2020年までに1990年比で25%削減する」計画において、最重要課題である無損失電力線実用化のためのブレークスルーを抽出することにある。高磁場中で200Aを超える電流を抵抗なく流すことのできる数ミクロン厚の超電導線が、2025年の先行開業が決まっているリニア中央新幹線やNMR・MRI等に用いられてこそ、二酸化炭素などの温室効果ガス削減効果が顕著となることから、超電導電子対の対破壊電流密度からかけ離れて低い現在の臨界電流密度(Jc)を向上させる新奇な作製プロセスを導入し、液体窒素温度においても、高磁場中で大電流を流すことのできる超電導線材を開発することを目的とする。これまでの研究結果から、人エピンニングセンター材料(APC)を添加した超電導膜を作製すると、超電導転移温度(Tc)が劇的に低下することが分かっている。そのため、本研究では、APC材料を超電導膜に入れ、磁場中超電導特性を向上させた膜のTcをAPCのない膜と同等のTcまで戻す。さらに物質本来の「強い超電導特性」が発現し、対破壊電流密度の25%以上という高いJcを実現するため、以下の可能性の可否を最初に追求する予定であった。ところが他研究室の学生・教官に、当研究室の装置を壊されるという、予期せぬ事態に直面し、当初計画より遅れた状況ではあるが、他外部研究機関の協力により、実験を進めることができた。本年度の、APC材料の実験では、その成長機構解明から挑戦し、微傾斜基板を用いて、1次元APCの曲がりを調べたところ、ある角度以上で、成長する超電導膜のステップフロー方向に(磯波に乗ったサーフィンの如く)成長し、超電導膜の一番弱いc-軸方向の磁場中臨界電流密度を高める効果が無くなることが分かった。さらに、鉄系超電導膜の上部臨界磁場を詳しく調べる研究も行った。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Inversion of the upper critical field anisotropy in FeTeS films2014
Author(s)
B Maiorov, P Mele, S A Baily, M Weigand, S-Z Lin, F F Balakirev, K Matsumoto, H Nagayoshi, S Fujita, Y Yoshida, Y Ichino, T Kiss, A Ichinose, M Mukaida and L Civale
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Journal Title
Supercond. Sci. Technol.
Volume: 27
Pages: 044005-044010
DOI
Peer Reviewed
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