2013 Fiscal Year Annual Research Report
収束イオンビームを用いたナノワイヤー熱電変換素子へのナノ電極形成・輸送特性の解明
Project/Area Number |
23560828
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
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Keywords | ナノ加工 / ホール測定 / ゼーベック係数 / 抵抗率 / 移動度 |
Research Abstract |
ワイヤー直径数十~数百nmのBiナノワイヤー熱電変換素子では、ワイヤー側部に局所的に電極を取り付けることが困難でありホール測定が行われなかったため、未だにキャリア密度・移動度などの物性測定が行われていない。本研究で収束イオンビーム(FIB)を使ったナノ加工を利用してワイヤー側部へ局所的なナノ電極形成・接合技術を開発し、ナノワイヤー熱電変換素子のキャリア密度・移動度測定を試みた。ナノワイヤー熱電変換素子は石英ガラスに覆われているために、どうやってその位置を正確に知るかが大きな課題であったが、ワイヤー表面ぎりぎりまで研磨作業を行い、FIBのGaイオンビームと石英中Bi表面からの二次電子放出率の違いを利用して、正確に位置特定が可能となった。その後、GaイオンビームをBiワイヤーに当てないような加工を施し、Biを局所的に露出させ、その場蒸着によって電極形成に成功した。このサンプルを利用してホール測定を行ったところ、Biナノワイヤーで世界で初めてのホール測定に成功した。ナノワイヤー全体が石英ガラスで覆われていることから、考えられていた電流密度よりも大きな電流を流しても温度上昇しないことから、比較的S/Nのよりホール信号が得られ、このホール測定から、移動度の温度依存性を求めることができた。この結果より、従来からナノワイヤー熱電変換素子において低温領域で抵抗率の上昇が確認されていたが、ホール測定の結果より、キャリアの平均自由工程がワイヤー側面で散乱され、結果として移動度が実効的に減少することによって抵抗率が上昇するという結果を実験的に説明できるようになった。
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Research Products
(9 results)