2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560836
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 恵司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80324713)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非晶質 / 中性子回折 / X線回折 |
Research Abstract |
本研究では、中性子およびX線回折に基づいた非晶質合金の3次元構造解析手法を発展させることにより、自由体積の定量評価を行うことを目的とする。すなわち、自由体積の定量解析に加え、その空間分布や特徴的な構造ユニットとの相関を明らかにする。 今年度は、非晶質合金の作製に必要な設備備品を導入し、試料作製環境を整えるとともに、平成25年度の回折実験に向けたデータ解析システムの構築および3次元構造モデリング、自由体積評価手法の開発を行った。 試料作製については、Ni-Zr系におけるNi-rich組成の非晶質合金の作製を行った。積極的な自由体積の導入のために、通常の液体急冷法だけではなく、メカニカルミリング法により同一組成の合金試料の作製を試みた。作製された試料について、X線回折装置(所属研究機関現有)により非晶質化の確認を行った。試料の取り扱いについては、酸化を防ぐために今年度導入した卓上型グローブボックスを利用した。 自由体積の定量評価プログラムについては、次に示す方法を採用した。(1)構造モデルの3次元原子座標について、すべての多面体ユニットに分割する。ここでは、実験データから得られる各原子相関の最近接距離内で構成される多面体についてのみ考慮する。(2)従来のボロノイ解析も並行して行い、特徴的な構造ユニットを調べる。3次元構造モデルの全体積からすべての多面体の体積の和を引くことにより、自由体積の算出を試みる。(3)過剰な自由体積評価を防ぐため、原子サイズを考慮したアルゴリズムを採用した。 中性子およびX線回折データに基づいて計算された3次元原子座標について、この解析システムを適用することにより、非晶質合金の詳細な構造解析が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた中性子回折実験およびX線回折実験については、平成25年度に行うことになったが、本研究のもっとも重要なテーマである解析システムの開発が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、J-PARC大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設において中性子回折実験を行う予定である。これにより、高精度な回折データを用いた構造解析が可能になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)中性子回折実験やX線回折実験に必要な消耗品(測定セルなど)および旅費2)非晶質材料を含む様々な材料の構造研究を調査するための出張旅費
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